米ドル決済の顧客を増やす試みも
為替リスクに対応するため、ナイジェリアのスタートアップは米ドル決済の顧客を増やすほか、現地の従業員やベンダー、パートナーにナイラの手元資金で支払いを行ったり、ナイラで決済する顧客には追加の手数料を求めるなどの取り組みを行っている。
「通貨改革に最もうまく対処できているスタートアップは、改革前からナイラのリスク回避をしていた企業だ。顧客基盤を多様化し、米ドル建て決済が可能な国際的なプレーヤーを増やす企業も出てきている」と、VCファーム「フューチャー・アフリカ(Future Africa)」の投資責任者であるマシュー・サンダース(Mathew Saunders)は話す。
中国やインド、トルコ、アルゼンチンなどの主要新興国の通貨も米ドル高によって圧力を受けている。しかし、ナイジェリアやエジプト、ケニアなどのアフリカ諸国は、米ドルやポンド、ユーロといったハードカレンシーの獲得が困難になっており、状況はさらに厳しい。
ナイジェリアでは、外貨準備高が1年前の390億ドルから340億ドルに減少した後、当局は6月に米ドルへのペッグ制を解除し、ナイラをより自由に取引できるようにした。ラゴスに本拠を置くCordros Securitiesのマクロ経済ストラテジスト、アブドゥラジーズ・クランガ(Abdulazeez Kuranga)によると、ナイジェリア中央銀行(CBN)は外貨準備高のうち35%しか使用することができないという。
「流動性の低さは、CBNによる公式窓口(政府取引が行われる為替市場)への為替供給が不十分である理由を説明している」(クランガ)
6月14日の通貨切り下げ以降、公式窓口において、ナイラの価値は米ドルに対して40%も下落した。7月のインフレ率が24%に達する中、サービス需要の低下によってスタートアップの収益や評価額が減少する可能性がある。
CBNは、総力を挙げて為替レートの安定を図っているとしている。しかし、状況が改善しない場合、海外VCから出資を受けているスタートアップは、ナイラ切り下げの影響を緩和するため、収益を大幅に増やすか、リスクを軽減する別の戦略を考え出さなければならない。
(forbes.com 原文)