論文によれば、重力データからは、ここに隕石が衝突したことが示されている。地球に衝突した隕石によって押し下げられた地面が反動で跳ね上がり、中央に山くらいの大きさの隆起を形成。この隆起は、損傷を受けていない岩盤に比べて低密度になるため、重力も小さくなる。隕石衝突に続いて発生する衝撃波によって岩石が破壊され、典型的な筋模様のある破断面ができた。この筋模様は他の衝突クレーターでも見られる。
磁気データも、この説を裏付けているようだ。論文によると、地下の磁気の乱れ(磁気異常)は、ランダムに分布しているのではなく、クレーターの縁に沿ったようなパターンを形成している。
この構造が隕石起源かどうかやその形成年代を確認するには、クレーター内部から岩石サンプルを採取する必要がある。隕石衝突の極限状態下でしか生成されない鉱物や、(シャッターコーンのような)岩石の特徴的な破壊パターンなどの地質学的証拠が見つかれば、衝突起源説を証明できるかもしれない。
現在知られている地球の衝突クレーターの総数は約200個。半数以上は欧州、北米、オーストラリアに位置している。現存する衝突構造の大部分は、形成年代が2億年未満で、5kmより小さい構造はごく少数しか存在しない。クレーターの形成年代と大きさの測定値は、衝突後の作用によって偏りが生じている。断層帯の近くや海底などの地殻変動が活発な地域では、クレーター(特により小型のもの)が浸食作用によって短期間で崩壊・埋没する傾向がある。
今回の研究結果をまとめた論文「Formation of Australasian tektites from gravity and magnetic indicators」は、学術誌Scientific Reportsに掲載された。
(forbes.com 原文)