ヘルスケア

2023.08.21 09:00

TikTokで「知らない人に親切にする」行為が流行る心理学的理由

興味深いのは、分析の結果、計画外の親切行動(道路を横断しようとしている視覚障害者を助けることなど)と組織的親切行動(炊き出しのボランティア活動など)とを比較すると、計画外の手助けの方が生活満足度への恩恵が大きかったことだ。おそらくこれは、計画外の援助の方が形式張ることなく社会的つながりを形成しやすいからだろう。また、計画外の援助のほうが多様であり、新鮮さを失ったり単調になったりしにくいため、燃え尽きたりすることなく多くをこなし、生活満足度を最大にすることができる。

つまるところ、誰かを手助けすることは、1人の利益が他人の損になるゼロサムゲームではない。実際にはWin-Win状態であり、贈り手と受け手の両方がその行為の恩恵に預かる。

2. 親切は伝染性しやすい

たった1つの親切な行動が、喜びとプラス効果をコミュニティ全体に広げる連鎖反応を起こすことがある。

2010年にProceedings of the National Academy of Sciences誌に掲載された著名な研究は、協力的行動が、幾多の隔たりを超えてSNSで拡散されることを発見した。同研究では一連の実験によって、1人の寛大な振る舞いが、他の人々が別の人々に対して寛大に振る舞う動機づけになることを示した。

例えば、アリスがボブに親切にすると、ボブはキャロルに親切にするきっかけを与えられ、さらにキャロルはデーブに親切にすると続いていく。

このように、親切は社会的ネットワークやコミュニティーの中を伝搬して長期間持続する正の波及効果を起こし、親切に接した人々は数週間後になってもより寛大であり続ける。

結論

親切は学んで実践することのできるスキルだ。他人に親切にすることで、自分の生活満足度や幸福度を改善するだけでなく、コミュニティ全体に親切と協力のきっかけを与えることができる。SNSでトレンドになっている贈答の習慣は、親切がいかに伝染性が高く、どれほど自分にも他人にも喜びをもたらすかを如実に現している。だから次に誰かが親切な行動をしているのを見たら、あなたにも、自分の行動を通じて喜びと肯定感を自発的に拡散する能力があることを思い出してほしい。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事