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2023.08.21 09:00

TikTokで「知らない人に親切にする」行為が流行る心理学的理由

SNSで見知らぬ人が誰かに親切にしているところを見ると、なぜ心が和むのだろうか? TikTokの流行から向社会的行動について学べることがある(shutterstock.com)

SNSのインフルエンサーは、そのコンテンツが浅薄で自己中心的、あるいは有害でさえあるなどといわれ、しばしば批判の的になっている。しかし、一部のインフルエンサーの間では、自分たちの寛容さや親切さを広く紹介するコンテンツを作ることで、見知らぬ多くの人たちに予想外の喜びと拡散のきっかけを与えることがトレンドになっている。

その一例が、TikTokでトレンドになっている「Blessing Strangers(見知らぬ人を祝福する)」という行為だ。これはコンテンツクリエイターが、見知らぬ人に不意にプレゼントを贈って驚かせる。著名なセレブであるドレイクもこの方法を取り入れ、2018年の「God' Plan」のミュージックビデオでは、マイアミの困窮する人たちに100万ドル(約1億4600万円)近くを寄付した。

親切に対する人々の反応を、オンラインでの影響力のために利用することについて倫理的配慮が必要なのは確かだが、報告されている一連の親切な行為は、科学者が繰り返し指摘してきた1つの現象を立証している。必ずしも明白ではないかもしれないが、人は無差別な親切行動に対して極めて好意的である。

例えば、Current Directions in Psychological Scienceに掲載された最近の研究は、自分の他人に対する親切な行動の影響を、他人がどう認識しているかを調べた。実験では、4~17歳の子ども101人と成人99人がシカゴのある美術館を訪れた。各被験者は鉛筆を2本渡され、1本を別の被験者に譲るよう促された。その後、被験者たちは鉛筆を受け取った人が、自分の親切な行動をどう思ったか、また贈り手たちはどう感じたかを、予想するよう依頼された。結果は子ども、成人ともに、自分の小さな親切行動の与えたプラスの影響を、低く見積もる傾向を示した。このことは向社会的行動(他者の利益になる行動)を妨げている可能性がある。

これは、心の中に親切に対する障壁が存在していることに疑問を持ち、自分の親切が他人に与える影響の大きさをもっと意識することの重要性を強調している。

寛大さに関するバイラルなトレンドが明らかにした、親切が自分と他人に与える科学的に実証された2つのメリットについて以下に述べる。

1. 自発性は過小評価されがち、親切に関しては特に

親切のもたらす恩恵の1つは、自分がいい気分になれることだ。誰かに良いことをした際、脳内にある「報酬系」と呼ばれる部分が作動し、オキシトシンやドーパミンなどの満足感を与えるホルモンが分泌される。これらのホルモンには、気分を高め、血圧を下げ、免疫系を強化する効果がある。

2020年にPsychological Bulletinに掲載されたメタ分析は、201件の独立した研究を調査し、向社会的行動と生活満足度に相関があることを発見した。この相関の強さは、親切の種類、生活満足度の定義および贈り手の年齢、性別など人口総計的因子など、多くの要因に依存している。
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翻訳=高橋信夫

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