健康

2023.08.19

鼻をほじる癖がコロナ感染リスクを3.8倍高める? 研究結果

Shutterstock

新型コロナウイルスの感染リスクを引き下げるために、自分でできることを何か1つ選ぶとしたら、それは何だろう? 自分の鼻に関係がある行動を思い浮かべる人は、多くないだろう。

だが、オランダのアムステルダム大学メディカルセンター(UMC)の研究チームが科学誌PLOSONE(プロスワン)に発表した研究結果によると、鼻をほじることで、感染リスクは3.8倍高まると考えられるという。

研究チームは、なぜこうした習慣(癖)について、調査することにしたのだろうか──。

医療従事者は、感染リスクの高い環境下にある。そして、定められたガイドラインに基づき、マスクを含む個人用防護具(PPE)の使用や、手を頻繁に正しく洗うことを推奨されている。

だが、それでも感染する人はいる。そこで研究チームは、感染した医療従事者が取る特定の行動や身体的特徴(ひげを生やしている、眼鏡をかけているなど)が、そのリスクをさらに高めている可能性があるかどうかについて、調べることにしたという。

チームはまず、アムステルダム大学の医療機関に勤務する404人を対象にアンケート調査を実施。「爪をかむ、または鼻をほじる癖があるかどうか」などについて尋ねた。回答した人は219人。頻度はまちまちであるものの、このうち「鼻をほじることがある」と答えたのは185人だった。

アンケートに答えた219人中、看護師の79.8%、研修医師の100%、専門医の90.9%、サポートスタッフの85.5%が「鼻をほじる」と回答した。それぞれの診療科については、明らかにされていない。また、回答した男性の90.4%、女性の83.1%が、この癖が「ある」としていた。

また「鼻をほじる」と答えた人の15.5%が、調査期間中(2020年3~10月)に新型コロナウイルスに感染していた。一方「爪をかむ癖がある」ことや「眼鏡をかけていること、ひげを伸ばしていること」と感染の関連性は、確認されなかった。

完璧な調査ではないが──

この調査結果は、それほど驚くものではないだろう。鼻をほじることが感染を防ぐことになると思っていた人は、恐らくいないはずだ。鼻の穴に指を入れれば、何であれ指についていたものは、鼻に入る。指が非常に清潔な状態だった場合以外に、何が起きるかは明らかだ。

もちろん、これは完璧といえる調査ではない。回答者のなかには、この癖があっても、それを認めなかった人がいるかもしれない。「鼻をほじる癖はない」とした15.5%の人たちが、質問に正直に答えていたのかどうか、明らかにすることはできない。

また、鼻をほじる癖がある人の方が、ない人に比べて感染する確率が高くなっていたという相関関係は、必ずしも因果関係を示すものではない。この癖があることを認めた人たちが、感染リスクを高めるその他の行動を取っていた可能性もある。

いずれにしても、指を鼻に入れれば、ウイルスが呼吸器系に侵入する危険性は高まる。これが無理なこじつけではないことは、確かだと言いる。私たちは、この癖によって起こり得ることや、指を清潔にしておくことに、もう少し注意を払った方がいいのかもしれない。

forbes.com 原文

編集=木内涼子

タグ:

連載

新型コロナウイルス特集

ForbesBrandVoice

人気記事