ウイルスが公衆衛生に与える影響の大きさにより、それらを分類している世界保健機関(WHO)は7月19日、オミクロン株「XBB.1.9.2」系統の子孫株であるEG.5(特にEG.5.1)を「監視中の変異株(VUM)」のリストに追加した。
すでに数多く出現してきた変異株やその派生型の名前を覚えることは、いまや困難になっている。SNS上ではそれらにニックネームが付けられるようになっており、例えばオミクロン株から派生したXBB.1.16は「Arcturus(アークトゥルス)」、XBB.1.5は「Kraken(クラーケン)」と呼ばれている。
新たに確認されたEG.5は、質量が最も大きく、半径が2番目に大きい準惑星の名称から取った「Eris(エリス)」という名で呼ばれており、ゲルフ大学(カナダ)のT.ライアン・グレゴリー教授(統合生物学)なども、その名前について投稿している。
間もなく主流に?
感染拡大のペースからみて、エリスの感染力はこれまでに出現した変異株よりも強いとみられている。英保健安全保障庁によると、英国内の感染者に占めるEG.5.1の感染者の割合は、7月20日時点で14.55%。前週から20.51%増加したと推定されている。また、米疾病対策センター(CDC)のデータによると、米国内でのEG.5の感染者の割合は、7月22日までの2週間には11.9%、8月5日までの2週間には17.3%となり、主流だったXBB.1.16を上回っている。
感染者に関して報告されているその他の数値も、上昇傾向にある。CDCによると、7月22日までの1週間の入院者数は、前週比で12.1%増加。下水から検出されるウイルス量も、各地で増えている。
感染拡大は避けられない?
より精度が高いPCR検査を受けるのではなく、自宅で抗原検査キットを使用する人が増え、さらに検査をしない人も増加していることから、報告される新型コロナウイルス感染者数の信頼度は、ますます低下している。自宅で検査をして陽性だった人の大半は、ごく身近な人以外にはそれを知らせないだろう。保健当局やその他の人にまで感染を報告すると考えるのは、マッチングアプリのティンダーで、ユーザーが1つもウソをつかないことを期待するようなものだ。