健康

2023.08.09 14:45

なぜ男はペニスのサイズにこだわる?「陰茎醜形障害」という超心理

石井節子

Shutterstock

錠剤、ローション、オイル、ポンプ、そして手術─デリケートな問題であるため公然と議論されてはいないものの、ペニスを長くしようとする男性にとって、選択肢は無限にあるようにみえる。

しかし、ペニスの増大は、特に次の2つの事実を考えると災いの元である。

・選択肢のほとんどは結果が保証されておらず、ペニスにとって有害な可能性さえある

・ペニスの増大を追求する人々は、「標準的」とされるものへの認識が歪んでいることが多い

以下において、なぜ男性が成功どころか問題を生じかねないにもかかわらず、時間、お金、労力を費やしてまで理想のペニスを追求する必要に駆られるのか、2つの理由を紹介する。

1. 心理社会的要因は「標準的」なペニスについての認識を歪める可能性がある

2019年、Sexual Medicine誌に掲載されたある研究によると、陰茎醜形障害(PDD)と呼ばれる心理状態が、陰茎の胴回りを大きくする手術を選択する男性の間で広まっている可能性が示唆されている。

また、2020年のある研究によると、PDDの症状を見分ける方法は以下の通りである。

・ペニスの大きさが正常範囲であるにもかかわらず、その大きさに執着する

・ペニスのサイズを大きくする医療行為や治療法を、強迫的に求める

・ペニスの大きさに関して、羞恥心と苦痛を経験する

・性的満足度が低く、性的機能障害が高い

・上記の徴候があるにもかかわらず、性欲に影響がない

もしあなたが上のいずれかに当てはまるなら、実際のペニスの大きさは、こうした否定的な感情にほとんど影響を与えない可能性が高いことを理解してほしい。PDDの人は、ペニスの長さや胴回りを増大させようとするよりも、このような不健康な行動や思考のパターンを処理することを助けてくれるメンタルヘルスの専門家に相談した方が良いかもしれない。
BongkarnThanyakij / Getty Images

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社会的・文化的要因の影響も無視できない。2019年のある研究では、ペニスの増大手術を受けたことがある25人の男性に1対1のインタビューを行った。すると、彼らの決断に文化や社会が影響を与えていたことがわかり、以下の3つの主要なテーマが浮かび上がったのだ。

・ポルノの影響

インターネット・ポルノで平均よりも大きなペニスを目にしたことで、多くの参加者は自分のペニスが社会の許容するサイズの定義に合致していないと考えるようになった。こうしたポルノが、トリックを使って演者のペニスを実際よりも大きく見せていることを知っていた場合でも同様だったのは、非常に興味深い。

・仲間との比較の影響

インタビューに答えた参加者の多くは、(ロッカールームなどで)仲間と比較を行ったことも、自分のサイズに満足できないと感じる原因になったと報告している。ある参加者はこう言った。「それを見せようとするのは、サイズに自身がある人だけ。だから結果的に、本当に大きい人と自分を比べてしまうことになるんです」

・ポップカルチャーにおけるサイズ・シェイミング(size-shaming)の影響

研究の参加者の中に、個人的にペニスのサイズをからかわれた経験のある人はいなかった。しかし、メディアに登場する、ペニスのサイズに関するジョーク(多くは女性によるもの)は、男性らしさを失わせ、自分自身の不全感を助長するものだと感じていた。
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編集=石井節子

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