観測データを見ながら、この星は、この銀河はこういうプロセスで進化をしているのではないか、という仮説を立て、そうなった場合に証拠となるデータを想定しながら、これらの検証する観測機器を設計し、観測を重ねる、この立証の積み重ねです。
お客様は「研究室の外」にいる
一転、「恒星から人」へと考察対象を移した場合、天文学的なアプローチと、ビジネスにおけるマーケティングのアプローチには、実は非常に似ているところがあります。もちろん、人は科学の法則と違い、同一環境下でも時代により同じ行動をするわけではありません。しかし、千差万別の多様性に富んだ人の行動をデータをとりながらパターンを認識し、その求めている原因を仮説を検証しながら実証し、これに対応した最も最適な施作をめぐらして実行する。顧客のサクセスを追求するこうしたマーケティングプロセスは、ある意味、宇宙を構成した神の意図を探ることと少し似ています。
そもそも人も星も研究室のなかに入れることはできない。1時間やそこらのユーザーテストやマーケティングリサーチに協力してもらうことはできても、ずっと部屋の中に入れて観察したり、尾行して調査するわけにはいかない。可能な限りのデータをとって、仮説を設定し、検証しながら、喜んでいただける施作やサービスをデザインしていく。
暮らしている環境、地域もバラバラ、若いひとやお年寄り、お金持ちやそうでない人も、向き合う対象は非常に不可思議でミステリー。その行動や嗜好性は日に日に多様化してきています。
冒頭でお話しした「3種類の研究者」の役割どおり、観測するための観測機材(通常は特注品)を構築し、観測し、データを解析しながら理論を立てて、さらに追加検証する、という行動を順番に繰り返していく。今の時代はとりわけ、お客さまのニーズがさまざまに変化し、いわば「天文学的な」多様性をみせているからこそ、マーケティングにもDXが必要と言われているのだと思います。