オーガニックコットン製品は、原料の収穫から製品が完成するまでの全製造工程を通じて、化学薬品による健康被害・環境負荷を最小限に抑え、労働の安全を守って製造されている。
「肌に優しい」というイメージを持たれがちだが、見た目はもちろん、科学的には品質も普通のコットンと変わらないといわれている。製品ができるまでのプロセスに価値があるのだ。
それでは、オーガニックコットンには具体的にどのようなメリットがあるのか見ていこう。
必要な水の量が少ない
オーガニックコットンを育成する際、無農薬の土壌は水効率が高いため、通常のコットン栽培に比べて必要な水の量が91%も少なくなる。水質汚染は98%抑えられる。
1枚のTシャツで使うコットンに必要な水の量が2700Lなのに対し、オーガニックコットンだと243Lになるのだ。
また、ほとんどのオーガニックコットンは小規模農家で栽培されているので、灌漑水よりも雨水に頼る傾向にある。
アラル海の悲劇
アラル海はかつて、世界第4位の面積を誇る水産資源の豊富な湖だったが、綿花栽培のために大量の水が消費されたことで水位が下がり、ほとんど消滅してしまった。船を陸に引き上げる間もなく急速に湖が縮小したため、現在でも大量の船が取り残されており、船の墓場と化している。
アラル海の悲劇は20世紀最大の環境破壊とも言われている。
土壌が豊かになる
オーガニックコットンは農薬や化学肥料を使用せず、代わりに有機肥料を使うため、土壌が豊かになっていく。
無農薬の土壌は水を多く含み、コットンの栽培に必要な水の95%をグリーンウォーター(雨水や土壌に蓄えられた水)で賄うことができる。
通常のコットン栽培では大量の農薬によって土壌が劣化するため、すぐに新たな土地を開拓しなければならず、森林破壊や生態系破壊につながる。
温室効果ガスを削減する
農薬や化学肥料を使用しないことで、それらを撒くための機械に頼る必要がなくなり、温室効果ガスの排出量が46%も削減できる。自然にやさしい栽培方法で作った豊かな土壌は、CO2を吸収するはたらきが盛んなのだ。
ただ、オーガニックコットンの生産を拡大することでより多くの温室効果ガスが排出される可能性があるという意見もあり、慎重に検討を進める必要がある。