そこで、学ぶ場所も学ぶ時間も、お弁当を食べる場所も、担任の先生も、選択の余地を全部生徒の手元に引き寄せることを、この学校の最重要コンセプトにしよう、ということになりました。学びたい時に、学びたいところで、学びたいことを学べる学校をデザインしたい、と。
いずれも公立の学校で実現するには思い切った決断と相当なご苦労があったかと思うのですが、早川元教育長以下、教育委員会の皆さん、学校の教職員の皆さん、地域の方々の力をお借りしてこの理想の学校づくりが本当に前に進んでいったのです。
Forbes JAPANの記事はどんなふうに注目してもらえたか?
2021年4月の開校除幕式・内覧会の際にも先の「バーバパパの学校」の話などを紹介させていただいたのですが、これがその会場にいらした方々にしっかりと届き、大きな反響を呼んだことから、Forbes JAPANが記事として取り上げるきっかけとなりました。この記事が大変な話題になり、どんどんリツイートされていって、大きな大きなバズ現象となりました。注目を集めたことは嬉しいことではありますが、それだけではなく、どんなコメントを付けてこの記事がリツイートされたかを、分析することも重要だと考えました。
もっとも多かったコメントは、「義務教育の本来の意味」を改めて再確認した、というもの。
学校に行かないといけない「子ども」の義務と勘違いしていて、これまで学校に行かせるための方便としてつかっていた大人も少なくなく、生徒自らも負い目のように受け取ってしまっていた可能性があります。義務教育とはそういう意味ではなく、子どもが学びたいと言ったらその学びを責任をもって場所も方法も提供しなければならないという「大人に課せられた義務」だという当たり前の事実でした。
子どもが持っているのは義務ではなく「学習権」。大人はその「権利」を守らなければならない。
2番目に多かったコメントは、これが私立ではなく「公立」で実現できたこと。開校式のスピーチでは、シンガポールやフィンランドのような教育先進国と呼ばれる遠いところの話ではなく、日本のど真ん中にある一つの自治体が声をあげてできたという事実です。これが私立学校ではなく、公立校で実現できたのですから、原理的には他地域でも同じ仕組みでできるはず、ともコメントさせていただきました。
「バーバパパの学校」というモチーフにも興味をもっていただけたコメントも多く、「バーバパパの学校」が工夫次第で本当にできるかもしれない、という肯定的な意見を多くいただきました。