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2023.08.11

人型ロボットも生成AIで進化、SF映画で描かれた未来は実現するか?

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SFに匹敵するようなイノベーションが、実世界に登場することはめったにない。1962年から放映されていたテレビアニメ『宇宙家族ジェットソン』は、当時の100年後にあたる2062年の未来世界を舞台としていた。ということは、私たちが暮らす2023年は、この作品が作られた1960年代よりも、描かれている未来の方に近いことになる。

現在の私たちが、同じプロダクションが制作した原始時代を描いた『原始家族フリントストーン』の世界を生きているとは思えないが、『宇宙家族ジェットソン』で予想されていたテクノロジーのなかで、現代に普及しているものとして真っ先に挙げられるのはビデオチャット(テレビ電話)だろう。空飛ぶ車などの、いかにも未来的な発明が実用化されるのはまだ遠い先の話かもしれないが、ここに来て、ジェットソン家で働くメイドロボットの「ロジー」が現実になる可能性が出てきた。

ニューヨーク・タイムズの記事によると、グーグルの人工知能(AI)部門であるGoogle DeepMindが、ロボット用AIに関して大きな前進を達成したという。これまでのロボットの頭脳はレベルが低く、アップルのAIアシスタント「Siri」がアインシュタインに見えてくるほどだった。だが、OpenAIがChatGPTで示したように、グーグルも、大規模言語モデル(LLM)をロボット工学に応用することで、画期的な大躍進につながった。

ChatGPTやMidjourneyを使ったことがある人ならわかると思うが、最近のAIの進歩は、知能のない金属の塊だったロボットを、最も有能なアシスタントへと変える力を持っている。これまでロボットは、腕を動かす正確な距離などの具体的な指示がなければ、まともに動くことができなかった。一方、グーグルによる最新のロボット制御用VLA(ビジョンランゲージアクション)モデル「RT-2」は、ウェブやロボティクスデータといった複数のデータソースから学習して言語や視覚的入力を理解し、トレーニングされていないタスクなどを実行するように設計されている。

ここまで来れば、こうしたモデルを採用したロボットが家事を担ってくれる未来は、すぐそこのように感じられる。


生成AIの発達とリンクするロボットの進化

映画『2001年宇宙の旅』に登場するAIを備えたコンピュータ「HAL9000」は、表面的には、いま私たちが使っているAIに近い。現在でも、標準的な機能を通じて、音声でChatGPTにコマンドを伝えることは可能だ。また、使用しているデバイスの音声読み上げ機能を利用して、ChatGPTの回答を音声に変換することもできる。あとはプラグインさえ増えればいいという段階だ。
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翻訳=長谷 睦/ガリレオ

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