リーダーシップ

2023.08.13 17:00

「失敗」はない。経験と自信がグローバルリーダーをつくる

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ヘンリー:実際に成功を収めている25人の日本人のCEOにインタビューし、長い時間をかけて彼らの幼少期の人生経験を掘り下げていくと、25人中20人以上の人がスポーツをやっていました。サッカーで県代表になったり、野球で甲子園に出場したりしていて、彼らはその経験を通して、成功・失敗・チームワーク・自己同一性・他者の同一性・コミュニケーションのとり方・勝ち負けについて学んでいました。
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10代でドイツに行った人は、ドイツ語はまったく話せなかったけれど、サッカーで人とつながり、友だちをつくりました。さらに彼はいろいろなことに興味を持ち、その興味がさまざまな経験、人との出会いを導きました。そして現地の人とつながるために英語が必要だと気づくのです。その後、何年もバックパッカーとして旅を続け、今では世界的なブランドのリーダーになりました。つまり経験を積み重ねることがマインドセットへとつながっていくのです。

また、成功したリーダーは共通して幼少期から明確な目標を設定していたことがわかりました。学校一かっこいいギタリストになりたい、市長になりたい、戦闘機のパイロットになりたいといった目標です。目標があれば、たとえ自信がなくても、飛び込んでやってみようとします。失敗しても乗り越えることができます。日本人がグローバルで成功できるかどうかはマインドセットの問題です。
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中道:とても興味深い指摘ですね。

ヘンリー:多くの人は、リーダーは生まれつきのものだと思い込んでいます。実際に研究でも、リーダーシップ遺伝子というものが存在することがわかりました。しかし、リーダーシップの遺伝的要素は30%ほどで、残りの70%は経験によるそうです。人生の早い段階で多くの経験を積めば積むほど、その効果は高くなることがわかっています。特にそれが国際色豊かな経験であればあるほど、偉大なグローバルリーダーになる可能性が高まります。つまり大事なのは、世界に関心を持ち、他人を尊重し、傲慢にならず、自分に自信を持つことです。
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中道:なるほど。自信のなさは日本人にとって大きな問題かもしれません。日本は自信を持たせるような教育をしていませんから。

ヘンリー:そうですね。日本の教育は間違いを避けようとしますよね。だから英語を話す能力があったとしても、文法的に正しい文章が書けたとしても、誰かが英語で駅までの道を教えてほしいと話しかけたら、ミスを恐れて固まってしまう。

中道:大学時代のイタリア人の友だちは、あまり英語は話せなかったけれど、ナンパする時はイタリア語でとても積極的に自信を持って女の子に話しかけていました。それがイタリア人としての強みなのでしょうね。今回とても興味深かったのは、「経験」と「自信」というキーワードでした。このエピソードが何か行動をするためのヒントになればと思います。

ヘンリー:グローバルマインド以前に、日本で育った若者へ重要なメッセージが一つあります。それは「失敗というものはない」ということです。このマインドセットを持てば、「自分に何ができるか」とポテンシャルを考えることにつながっていきます。

文=久野照美 編集=鈴木奈央

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