はたまた、岸田文雄首相が16日から19日までサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、カタールの3カ国を歴訪した中東。この地域では、国際刑事裁判所(ICC)が3月、ロシアのプーチン大統領に対して、ウクライナで戦争犯罪に関わった疑いがあるとして逮捕状を出した際、欧米社会とは全く異なる反応がみられたという。イラクなどで、知識人らも含めて「プーチンをICCに送るというなら、ジョージ・W・ブッシュ(元米大統領)をICCに送れ」という声が出ているそうだ。ブッシュ政権が2003年3月に始めたイラク戦争で、国をメチャメチャにされたという強い恨みが背景にあるという。中東では5月、アラブ連盟がシリアの12年ぶりの連盟復帰を認めた。アラブ社会の盟主を自認するサウジアラビアなどが、米国主導の中東和平に限界を感じての決断だったとされる。
7月14日には、ジャカルタで、米国やロシア、中国などが参加して東アジアサミット(EAS)外相会議やASEAN地域フォーラム(ARF)が開かれた。ロシアのウクライナ侵攻を巡っても、相手陣営を非難する激しい論戦が行われた。専門家の1人は「アフリカや東南アジア、中東、南米などの諸国に対し、白か黒という選択を迫るのは難しい。選択を迫れば迫るほど、相手は逃げていく」と語る。外務省の元幹部は「日本はむしろ、欧米と一緒にではなく、独自にウクライナ問題などへの協力を呼びかけた方が、賛同を得られる可能性が高いだろう」と話した。
過去記事はこちら>>