火星の「タイムマシン」
研究チームは、開発した数式を火星にも適用した。火星については、探査衛星が数十年にわたり高解像度画像を撮影してきた。チームは、よく知られている2つの古代の湖底、ゲール・クレーター(NASAの探査車キュリオシティがいる)とジェゼロ・クレーター(同じくNASAの探査車パーシビアランスがいる)に着目した。結果、ゲール・クレーターには少なくとも10万年間流れた川が、ジェゼロ・クレーターには少なくとも100万年間流れた川があったとみられることが分かった。生命を育むのに十分な長さだ。
MIT・EAPS学科のテイラー・ペロン(Taylor Perron)教授は「タイタンがすばらしいのは、活動している点です。一方の火星は過去を見るタイムマシンとなり、死んだ川を観察することで、活発に流れていた時にどんなだったのかを読み取れます」と語る。「この技法によって、追加データを得るのが難しい場所についても、実質的な予測を行う手段を、私たちは手に入れました」
ただ、追加データは11年後には手に入るかもしれない。NASAは、タイタンを調査する胸躍るミッションを計画している。
2027年6月に打ち上げ、2034年にタイタン到着を予定しているこのミッション「Dragonfly(ドラゴンフライ)」は、ほぼ3年間にわたり、生命体存在の可能性を探る。ドローンに似た探査機が、タイタンの1日(16地球日)おきに新しい場所へと移動し、観察と実験を行う予定だ。
(forbes.com 原文)