ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が、土星の赤外線画像を初めて撮影した。
画像は2023年6月25日に撮影され、土星の衛星のうちディオネ、エンケラドゥス、テティスの3つも写っている。使用されたウェッブ望遠鏡のNIRCam(近赤外線カメラ)は、肉眼では見えない放射熱を捉えることができる。
木星に続く赤外線画像
ウェッブはほぼ1年前、木星の赤外線画像を初めて撮影していた。今回の画像には、土星の嵐や雲の帯、微かなオーロラ、輪、小さな衛星、そして背景には彼方の銀河も写されている。
暗い土星
ウェッブの撮影した画像では、土星が暗く写っている。宇宙望遠鏡科学研究所はその理由として、土星に降り注ぐ太陽光のほぼすべてがメタンガスに吸収されるからだと説明している。画像で最も明るい部分は、氷と岩石とちりでできた輪だ。この画像は、プログラム1247の一環として土星を撮影した一連の画像のうちの1枚。ほかの画像には、長時間露光により、微かに見える衛星や土星の輪の詳細を捉えたものもある。
カリフォルニア工科大学によると、2023年5月現在、土星には衛星が124個あることが分かっている。これは太陽系のどの惑星よりも多い。
しかし、その中で1つ、土星の美しい輪が形成され得る上で重要な役割を果たしているとみられる衛星がある。
エンケラドゥスの水柱
ウェッブ望遠鏡が最近撮影した衛星エンケラドゥスの画像からは、この衛星から氷粒子や水蒸気、有機化合物からなる高さ9600kmの水柱があがり、地下海の物質を土星の輪に向けて送り出していることがわかった。水柱に含まれている物質のおよそ30%が土星のE環に、70%が土星系のその他の部分に送られているとみられている。米航空宇宙局(NASA)の土星探査機カッシーニもこれに先立ち、エンケラドゥス地表各地から噴き出す高さ数百kmのジェットを発見していたが、ウェッブが見つけた水柱はこれをはるかに上回る規模だった。
(forbes.com 原文)