スタートアップ

2023.08.08 16:30

佐賀のスタートアップのイベントには「あきらめの悪い」人たちが集う

石井節子
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この近い距離感があることで、1足飛び2足飛びでキーパーソンに会えることも可能にしています。今回、デッサンのNPO登録団体が200社以上に伸びた背景にも、実はNPOの支援に長年取り組んできた人物が佐賀にいて、たまたま私達が別の施策でお世話になっており、この方を紹介したことも一つの要素になったようです。

普通、地方自治体の取り組みで、ここまで踏み込んで起業家と近い距離で支援することはありません。これもまた佐賀県スタートアップ支援の大きな特徴ですね!

「起業するなら佐賀に行こう」


────では、最後の質問です。今後、DX・スタートアップ推進室が目指すビジョンを教えてください。

松雪:DXの推進については、やはり県外から多くの視察もありますし、中央省庁や他県の自治体からも高い評価をいただいています。様々な業種や業態の企業でDX事例を作れていることが、良い変化につながっていると思います。

ただ、裾野はまだまだ広げていく必要があるので、デジタル技術を当たり前に企業が活用できるように、もっともっと実例をつくり、できるだけ多くの企業がまずは小さなところからDXにチャレンジできるよう、促していきたいと思っています。

北村:スタートアップ支援については、枠組みもできて結果も出てきました。あとは、大きな課題でもありますが佐賀県のプレゼンス(存在感)、ステータスを作っていかないといけないと思っています。

どうしても佐賀と都会とを比べれば、例えば東京や福岡の方がビジネス環境としては恵まれている面は否めません。すると、せっかく佐賀で育ったスタートアップも、育ったがゆえにかえって東京や福岡に、という思いをもってしまうこともあるでしょう。

そのことについて「出て行かないでくれ」と言うことはできますし、自治体として地域の産業振興に取り組んでいる以上、そう言うべきですが、他方でそれがビジネスの振興や成長支援という観点からは必ずしも正しいとは限らない。むしろ、「佐賀に面白い人や企業がいて、佐賀では東京や福岡とは違うが、都会では得られない機会がある」という環境を作っていくことが必要と感じています。

究極的にはむしろ、起業を目指す方々に「佐賀って面白いから、自分も佐賀で起業しよう!」と思ってもらい「育ったら佐賀に行く」と考えてもらえるような地域にしていきたいですね。

村川:今まで、佐賀から全国や世界を目指すと言ってきました。「本当にできるのか?」と思う時もありましたが、着実に少しずつ近づいてきた実感があります。

本当に起業家の皆さんが世界に羽ばたいていけるように、私たち自身が常にアンテナを高くして本当に起業家の皆さんに必要な支援は何かを考え、実行し続けていきたいと思っています。そして、今後もしっかりと実例をつくり続け、継続的に素晴らしい企業を輩出していきたいですね。


佐賀県「DX・スタートアップ推進室」の詳細はこちら

松中朱李◎So-gúd編集部。神奈川県・横浜市出身。アパレル企業にて販売からバイイングを経験したのち、イタリア・フィレンツェへ留学。現地で2年間を過ごし、気づけば靴職人に。帰国後は、メンズシューズメーカーにて広報PRをメインに、オウンドメディア運営・ECサイトディレクション等に従事し、現在に至る。うさぎの散歩とヨガが日課。

(本記事は「So-gud」の転載記事である。)

文=松中朱李

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