欧州

2023.07.17 10:00

元台湾軍の地対空ミサイル100基、ウクライナの防空能力を一変させる可能性

ウクライナの産業界はS300やブークのミサイルを生産していない。また、ウクライナを支援する国の在庫にもこれらのミサイルはあまりない。そのため、北大西洋条約機構(NATO)の加盟国はウクライナに提供できるあらゆる地対空ミサイルシステムを送ることを約束している。IRIS-T、クロタル、ナサムス、パトリオットなど全部で20近くの地対空ミサイルシステムがある。

これらの西側の防空システムはソ連の同等のものよりも信頼性が高く、射程が長い。また精度が高く、電波妨害にも強い。そして何と言っても持続可能でもある。ウクライナは友好国の工場や在庫からミサイルを安定的に得ることができる。

これまでの地対空ミサイルの供与により、ウクライナ軍が保有していた50の古いソ連製地対空ミサイルシステムのうち約20が取り替えられた。ウクライナ軍にとって現在の課題は残りの30のシステムの交換だ。台湾軍が使用していた10数のホーク一式が米国を介して供与されれば、この問題を解決するのに大いに役立つだろう。

ホークは中距離のSAMだ。長さ5メートルあまりのミサイルを3発同時に発射でき、射程は約48キロ。ミサイルは、地上のレーダーが空中の標的に反射するエネルギーをめがけて飛ぶ。現在でも十数カ国がホークを運用しており、ホークのシンプルさやコンパクトさ(重量物運搬ヘリで発射機を運ぶことが可能)、アップグレードの容易さを評価している。

実際、ナサムスを開発したノルウェーの防衛・宇宙企業コングスベルグは、ナサムスの主要部品を使ったホーク用の新しいデジタル指揮所を開発した。つまり、ウクライナ空軍が何らか取り組めば、同じレーダーと指揮所を使ってナサムスとホークを1つの部隊に統合できる可能性がある。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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