宇宙

2023.08.27 18:00

宇宙の「果て」はどこにある? 「中心」は?

この画像は北天の銀河の上部近辺にあたる宇宙の狭い領域を写したもので、画素ひとつひとつが地図化された銀河を表している。地球から観測できる宇宙は全方向、どこを見ても同じであるが、遠くにある銀河は、地球に近い銀河よりも小さくて若く、まださほど進化していないように見える。SDSS III, DATA RELEASE 8

われわれが測定する天体のひとつひとつは、宇宙に存在するどんな物質もそうであるように、われわれが認識している原子やイオンを持っている。すべての原子やイオンは、光がある特定の波長のときだけ、光を放出したり吸収したりする。もしわれわれがどの原子が存在するかを突きとめ、スペクトル線への規則的な変化を計測できれば、光が実際どのように赤方偏移したり青方偏移したりするのかを算出できる。
1917年にヴェスト・スライファーが初めて発見したことだが、われわれが観測している天体のいくつかはある特定の原子やイオン、分子の吸収や放出の分光的特徴を示しているが、光スペクトルの赤い端か青い端かどちらかに規則的に偏移している。このデータとハッブルの距離測定をあわせて考えると、膨張しつづける宇宙に関する最初の考えが生まれる。つまり、銀河が遠ざかるにつれて、光はより赤方偏移を起こす。VESTO SLIPHER,(1917): PROC. AMER. PHIL. SOC., 56, 403

1917年にヴェスト・スライファーが初めて発見したことだが、われわれが観測している天体のいくつかはある特定の原子やイオン、分子の吸収や放出の分光的特徴を示しているが、光スペクトルの赤い端か青い端かどちらかに規則的に偏移している。このデータとハッブルの距離測定をあわせて考えると、膨張しつづける宇宙に関する最初の考えが生まれる。つまり、銀河が遠ざかるにつれて、光はより赤方偏移を起こす。VESTO SLIPHER,(1917): PROC. AMER. PHIL. SOC., 56, 403


それによって得られた結果は注目に値する。最も近い天体の場合、秒速数百から数千キロメートルまでの速度に応じて、赤方偏移も青方偏移も見られる。天の川銀河のような巨大な星団の中心から離れた銀河は、最高速度でも低いほうに属するが、巨大な星団の中心に近い銀河は光速の1パーセントの速さにまで達する。
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同じ範囲内のより遠くに位置する天体を見ると、銀河間の推定速度は秒速100キロメートルから1000キロメートルまでになるが、地球からの距離に比例して、すべてがいっそう赤く偏移していく。

観測によって得られた結果は非常に明解だ。概して、地球から距離があればあるほど、赤方偏移の度合いが強まる。しかし、それは光を放つ天体が、その光をとらえて観測しているわれわれに相対して宇宙を移動しているからだろうか? それとも、宇宙全体が膨張し、その結果、光が地球と観測の対象となっている天体の間に横たわる宇宙を移動しつづけているからだろうか?


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翻訳・編集=高橋知子/S.K.Y.パブリッシング・石井節子

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