国内

2023.07.11

100億超調達も経営破綻 元CEOが語る、失敗の最大要因と再起

阪根信一(撮影=小田駿一)

為替テックで再起 「妥協しない採用」を徹底

藤吉:そこからどうにか再起されて、新たな事業をされていますね。
 
阪根:2020年からジーフィットというスタートアップの共同代表として、企業が抱える外国為替に関する課題を解決するSaaSツールを開発・提供しています。技術的に非常にチャレンジングであること、とてつもなくスケールする可能性があるという観点から、事業領域を選びました。
 
前回の失敗をふまえチームマネジメントを経営の中心に据え、時間と労力を費やしています。具体的にはまず、採用基準をちゃんと決めて中途半端な人を採用しない、本当に求める水準の人が現れるまで妥協しないという、エントリーマネジメントの強化をしています。
 
日本では経営破綻した起業家が再度起業に取り組むという事例が、なかなかありません。一度バツがついた自分がどれだけやっていけるのか、「やってみないとわからない」と思いながら、再度チャレンジを始めました。
 
それから4年近く経つのですが、肌で感じているのは、日本は決して再チャレンジできない土壌ではないということです。破綻後の責任を果たすなど、コツコツとやることをやっていれば、必ず再挑戦できると感じています。

失敗しても応援者が現れる起業家はどんな人か

高野:アメリカには失敗した人がもう一度チャレンジできるカルチャーがある一方、日本は1回失敗するとサポートを受けられず、挑戦は難しいとよく言われています。しかし私が思うに、場所がシリコンバレーであっても、最後までがんばっていない人は、また応援しようとはならないんです。


阪根信一(左)とForbes JAPAN Founder 高野真

個人投資家としてこれまでに40社ほどに投資していますが、2、3社は潰れています。そうなったときに、起業家がどう対応するかによって、助けたいと思う度合いが全く異なります。
 
例えば、出資を受けているのなら他人のお金が入ってきているわけです。融資の場合はお金を返せないとなった場合、個人破産をする必要がある一方で、エクイティで調達したお金は一度入ってきてしまえば返済の義務もなく済むと思っている人がいる。
 
しかし、誰に迷惑をかけたのかという認識をもって処理をしていくということが重要です。これができていない人は結構いますし、そういう人には再びサポートしようとは思いません。
 
阪根さんの場合は、最後の最後まで破産処理をやって、株主にも挨拶へ回るということをきちんとしている。再チャレンジにあたって、またサポートしてくれる人が現れるというのは、ちゃんとやることをやったということだと思います。
 
阪根:実は、前回のスタートアップへ出資して何億円という金額を損してしまった株主の方が、ジーフィットに再び投資して応援してくれています。
 
過去に大きな挑戦をして、そこで学んだのは、失敗しても命まで取られるものではないということです。
 
自分自身、いまも生きていて、次のチャレンジができています。失敗して迷惑をかけておきながら言うのもおこがましいですが、挑戦をして仮に上手くいかなかったとしても、挑戦し続ければ、いつかお世話になった方々へ恩返しできる日がくる。チャレンジすることは本当にプラスでしかないと、いまは思います。
 
阪根信一(さかね・しんいち)◎米デラウェア大学で博士号を取得。卒業後は父の会社に就職し、2003年に社長に就いた。2011年にスピンアウトする形でセブン・ドリーマーズPresident & CEOに就任。2019年4月に破産申請をし、現在は為替テックを手がけるジーフィットの代表取締役を務める。

文=加藤智朗 写真=小田駿一

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