作家のマット・リドリーがその著書『The Rational Optimist(合理的楽観主義者)』の中で指摘しているように、日本は20世紀初頭、資源の豊かさと自給自足から富が生まれるという経済的正統性を信じてきたが、1945年までにほぼ国を滅ぼしかけた。物的資源と蓄財を失い、完敗した日本は創造性、貿易、学びに目を向けた。日本の急速な再建は学習曲線の物語だった。それは経済史における偉大な物語の1つであり続けている。
中国は、20世紀初頭の日本と同様の基本的な誤りを犯していると本コラムは考えている。それは、富は資源の豊富さと自給自足によって創造されるという限定的な信念だ。それは誤りだ。それが正しいとすれば、アルゼンチンとロシアは世界の大国になり、シンガポールと韓国は貧しい国になるはずだ。富が資源を買う。その富は、情報、好奇心、驚き、迅速な実験、絶え間ない学習そして市場からのフィードバックから生み出される。
AIは最新の学習促進装置にすぎない。印刷機、科学的方法、証券取引所、電信、電話、ラジオ、テレビ、コンピュータ、ソフトウェア、検索エンジン、スマートフォンなど、歴史にはその例が溢れている。それが今は、グーグルの検索バーのように簡単に使えるいわゆる生成AIだ。学習の新たな促進装置が出るたびに、経済価値のバランスは固定資産から少し離れ、情報、驚き、学習曲線に少し近づく。
エヌビディアの技術責任者が5月に私に語ったところによれば、テクノロジーの進歩速度は、わずか10年前と比べて3倍から5倍速くなっているという。もしあなたの会社の学習・改善能力が同様に加速していないのなら、そのままにしていてはいけない。「Who learns fastest, wins.」(最も速く学ぶ者が勝つ)なのだから。
(forbes.com 原文)