コラーゲンやヒアルロン酸を形成促進する「モノ」を花王が発見

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肌の弾力性を保つために重要なのは、エラストチンやコラーゲン、ヒアルロン酸(細胞外マトリックス、以下ECM)が必要とされていますが、花王は炭酸ガスが経皮吸収された際に起こる組織内のpH低下により、表皮の下の真皮にあるECMの産生を促進させることを解明しました。このことは、Experimental Dermatologyにオンラインに公開され、第48回日本香粧品学会でも発表されています。


もともと、炭酸が皮膚から体内へ浸透することで血行がよくなることは知られていましたが、花王は炭酸配合製剤の塗布によって落屑(角質が剥離し、それが剥がれ落ちること)や炎症などを改善するのは、表皮のpH低下が主な要因と報告してきました。今回、皮膚の形状や弾力性の維持において、炭酸の有用性を期待し正常ヒト皮膚線維芽細胞を用いてpH低下がECMの産生に及ぼす影響と作用を検証しています。

その結果、pHを同一に調整した、炭酸配合製剤と炭酸非配合製剤を添加したものを塗布したところ、炭酸配合製剤を添加した場合に大きくpH低下が確認され、炭酸が真皮層まで浸透することが示唆されました。



さらにpHを6.5に低下させた培地と、pHを7.6~7.8の培地で線維芽細胞を培養し、エラスチン線維及びコラーゲン線維の形成、ヒアルロン酸産生量を評価しました。すると、pH6.5のほうが、ECMが産生促進されることを確認しました。このことから、pH低下を起点としたメカニズムを推測。活性化した情報伝達因子が産生を促すことを突き止めています。



こうした研究結果から、今後も炭酸の作用を明らかにしつつ、肌を美しく健やかな状態へ導くための薬剤の開発研究を行っていくとしています。

よく美容のために炭酸水で洗顔するという人もいますが、もしかしたら美肌を保つために無駄なことではないかもしれません。

出典:花王「炭酸の真皮組織に対する作用を新たに発見」より

文=飯島範久

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