岩崎:そこがとてもカッコいいんですよね。ブラック・ジャックはもはや助からないであろう患者を相手にする。だからまともな免許を持った医師たちから文句を言われる。「絶対無理だ」とか「なんでそんなことをするんだ」「触るな」と。それに対してブラック・ジャックはいつも「うるさい!黙っておけ!」とか言うんです。自分の腕を信じ、「治る」と心の底から信じているから、それに対してちゃんと物言いができるんだと思います。「結局人間は信じるか信じないかだな」と思うことがすごく多いです。
たとえばスタートアップが成功するかしないかなんて、誰にもわからない。わからないなかで「できないかもしれない」とか「そもそもこれってやる意味あるんですか」みたいに言うのは無意味です。心の底から「私たちはできる。だからやるんだ」と言うことが大事。信じている人にしかできないことってあるなと思います。自分たちのことは信じないといけないし、信じてやるしかないんだと教えてくれました。
栗俣:岩崎さんの事業はいろいろなところにつながっていますよね。周りの、自分を信頼してくれている人たちを力にしたところ。そのあたりは「六等星」に通ずるところがありそうです。
星には一等星から六等星まであるじゃないですか。それに対してピノコが「六等星ってほとんど光ってないのは小さいからなの?」と問いを投げると、ブラック・ジャックが「いや、遠くにあるだけなんだ。もしかしたら一番大きいのはあの六等星かもしれないよ」みたいな感じで終わるんです。天才ですよね、あれを描けるのは。六等星みたいな人はたくさんいると思います。そういう人は勝手に目立っていくんじゃないかな、と思っています。まわりの人たちは見ているんですよね。「そういう世界を作りたい」と思ったのも起業した理由のひとつです。