その新しく入った人は、比較対象となる前の会社や、入社前の期待値があり、それに対して今のチームの環境のよさを加点方式で見ていた。一方で長くいる人は、目の前にあるものが当たり前になっているので、どうしても「足りないもの」に目がいってしまう減点方式になっていたのだ。
リーダーはこのような視点や視座の違いを理解し、それぞれの感受性を受け入れる必要がある。そうすることで多様性のある組織となり、さまざまな声に対応できるサービスやプロダクトができ、ビジネスが成長する。言い換えれば、違いを認める俯瞰性と、個別最適性のバランスをとることが重要ということだ。
では、リーダーとして、どんな視座や視点を特に意識すべきか。以下、5つのパターンと注意点を紹介しよう。
・入社年度や経験の異なる同僚の視座
・自チームのメンバーの視座
・上司の視座、上司の上司の視座
・別部署、他エリアの視座
・クライアントやサプライヤーの視座
入社年度や経験の異なる同僚の視座
当然ながら会社に3年しかいない人と、20年いる人ではモノの見方が異なる。ここで重要なのは、どちらがよい視点かということではなく、違うということだ。入社間もない人にしか見えない自社のいいところ、改善できるところは沢山あるはずだ。一方で、会社のことを知り尽くしていないと見えない物事の進め方や、会社のカルチャーもある。リーダーとして、両方の人がどんな景色を見ているから、どんな意見を言っているのかを意識して観察するとよい。
自チームのメンバーの視座
リーダーとメンバーでは見ている視点が異なる。見ている組織の大きさ、考えている時間軸、扱っている予算、結果として問われるインパクト、プロジェクトの複雑性が違うからだ。自分ができることが、メンバーができないことに苛立ちを覚えるのはリーダーになったばかりの人が良く陥る課題であるが、これも視座の違いからくる。自分も未経験だったころのことを忘れて、リーダーとしての視座でメンバーに期待をしてしまうことがあるのである。リーダーはメンバーのリソースの範囲で見える視点とは何かを常に意識する必要がある。