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2023.07.06

メタバース「生みの親」SF作家が描く未来像

shutterstock

世界経済フォーラム、アクセンチュア、マイクロソフトが共同で立ち上げたメタバース「グローバル・コラボレーション・ビレッジ」は先ごろ、作家のニール・スティーブンスン氏を招き、メタバースへの考えを聞く機会を設けました。

スティーブンスン氏は「メタバース」という言葉の生みの親であり、メタバースの責任ある開発と普及において重要な役割を果たす人物の一人です。

このセッションでは、メタバースが社会に与える影響とメタバースを有効活用するために必要なことについての意見も述べられました。


ニール・スティーブンスン氏が著した「スノウ・クラッシュ(Snow Crash)」は、ハッカーやマフィア、コンピューターウイルスが複雑に絡み合うメタバースの中で主人公が活躍する姿を描いた独創的な小説。「メタバース」や「アバター」という言葉を有名にした作品であり、今なおシリコンバレーのテクノロジー企業に大きな刺激を与え続けています。

主人公のヒロが、メタバースを利用しているという設定のこの作品は、1990年代の初めに発表されるとSF小説として絶賛を浴びましたが、その世界観が今、現実のものとなりつつあります。

グローバル・コラボレーション・ビレッジ(Global Collaboration Village)の一環として先ごろ開催されたセッションでは、世界経済フォーラムがニール・スティーブンスン氏をゲストに招き、没入感のある仮想空間であるこのメタバースでの交流が秘めた可能性について、考えを聞きました。

オープンで協調的なメタバース

ディスカッションが始まると、スティーブンスン氏は早速、オープンで協調的なアプローチを進めていくことが、メタバースを開発する上で重要であると強調しました。

「メタバース開発においては、オープンで責任あるアプローチが可能であり、そのようなアプローチを推進していく必要があります。インターネット空間では、この数十年間、驚くほど素晴らしいイノベーションが多く誕生しています。世界中の人々の生活を豊かにしたり、世界中にちらばる個人と個人につながりを持たせたりできる。そのような大きな力を持った技術がそこに存在しているのです」

続けてスティーブンスン氏は、テクノロジーの可能性については基本的には楽観的であると述べつつも、その可能性を最大限に引き出し広く普及させるには熟慮を重ねた取り組みが欠かせないという持論を展開しました。

「メタバースの開発や普及に、時間とお金を費やすことに前向きな起業家やイノベーター、企業は、膨大な数の人がなぜ、そしてどのようにしてメタバースを進んで利用しようとするのかを熟考しなければなりません。

このようなことは言うのはためらわれますが、メタバースを利用しようとする人は、それ自体が目的なのだろうと思います。新しい物事を試してそれを利用し続けるのは、それが楽しいから、あるいはそれが必要だからと感じる場合がほとんどです」
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文=Kelly Ommundsen, Chief of Staff, Head, Global Collaboration Village, Member, Executive Committee, World Economic Forum; Jaci Eisenberg, Head of Content Curation, Global Collaboration Village, World Economic Forum

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