だが、その観光客の数に、住民はうんざりしている。地元の人々からの苦情が相次いだことを受け、村は「最も映える」スポットに木製のフェンスを設置した。だが、SNSでの激しい反発を理由に、間もなく撤去。村長はその代わりとして、人が住んでいる場所であることを強調する「横断幕をかける」考えだという。
だが「オーバーツーリズム」に悩まされているのは、ハルシュタットだけではない。欧州では観光地として名高い多くの都市が、同様の問題を抱えている。あまりの観光客の多さに閉口している住民たちは、来訪者数に上限を設けるなど、より厳格な規制を導入することを求めている。
フランスのマルセイユは、受け入れる観光客数に上限を設けた。イタリアのベネチアは、大型クルーズ船の乗り入れを禁止。スペインのランサローテ島は、観光客の受け入れに関しては「飽和状態」だと宣言した。マヨルカ島は、宿泊施設のベッド数を43万に制限する方針だ。
最も「混雑する」都市
ドイツの国営放送局ドイチェ・ヴェレ(DW)は以下を、最も「観光客であふれ返る」欧州の都市に挙げている。・べネチア/イタリア──年間を通して何百万もの人々が観光に訪れており、その数は住民1人あたり21人にのぼるという。ラグーン(潟)のなかにあるという特殊な立地条件から、深刻な環境問題に悩まされている
・ローマ/イタリア──あまりに多くの観光客が訪れることから、市当局はトレビの泉やスペイン階段で「座ることを禁止」した。2019年に1泊以上でローマ観光を楽しんだ人は、およそ2600万人にのぼった
・プラハ/チェコ──人口130万人余りのこの都市に押し寄せる観光客は、新型コロナウイルスのパンデミック発生前は、年間およそ800万人だったという
・ドブロブニク/クロアチア──多くのクルーズ船が寄港するこの都市は「ゲーム・オブ・スローンズ」のロケ地でもあり、2019年には約150万人が訪れた