プライベートバンクでは受け入れられないビットコイン
──どういうことでしょうか。例えば、ビットコインを大量に持っていても、殆どすべてのプライベートバンクでは口座開設を受け付けられません。
マネーロンダリング対策等で、暗号資産は資産として受け入れを認められていないからです。
既にドルに変えていたとしても、元々の資産がビットコインやクリプトだとすると、ほぼ全てのプライベートバンクではお断りされます(数少ない受け入れ可能な会社は問い合わせいただければ紹介することも可能です)。
また、ビットコインを担保に何も金融商品を提供できません。ビットコインを担保に現金の貸出ができないためです。
一方で、株など彼らが理解できるもの、あるいはカストディが使えるものなら、それを担保にしてさらにレバレッジをかけて他の債券を買うことも可能です。
そのため、殆どのプライベートバンカーはクライアントがビットコインを現物で買いたいと言っても、あまり勧めないのではないでしょうか。
担保価値が下がってしまうからです。
例えば、プライベートバンクへの預け資産5億円のうち1億円をビットコインに換えると、その1億円はプライベートバンクから出てしまうわけです。
──富裕層とされる方々は、一般的にプライベートバンクを利用するものなのでしょうか。
それは人によります。
元々トレーダーであったり、金融機関出身の方で既に金融知識をある程度持っている人等は、自分で運用していることが多いです。参考として比較するために利用するという話も聞いたりします。
プライベートバンクは低リスクで資産を分散させるのが基本ですが、それがわかっていても、面倒と感じてお任せする人もいます。
特に起業家出身で金融に興味がない人はプライベートバンカーに全てを任せていることが多いと思います。
ビットコインや米国株、日本株が大きく上昇した2010年代に入金力があった当時30代がいま資産を築いている
──どのような方々が多いのでしょうか。クリプト富裕層に関していうと、事業で最初に大きな利益を得たり、高収入な職種についていた人で、その元手を使った投資で大きな利益を得ている方が多い印象です。
また、クリプトに限らずいうと、投資に限らず事業で資産を築いた方が多いです。
年齢層は比較的高く、クリプトで大きな利益を得た方々を見ても、40代以上の方が多いです。
なぜ40代以上の方々が多いかというと、これは入金力の問題です。
私はビットコインに2014年から携わっていますが、その頃は20代前半で買いたくても元手があまりありませんでした。
いま40代以上の方々というのは、ビットコインや米国株、日本株が大きく上昇した2010年代に30代で入金力があり、投資余力があった方々なんですね。
特にクリプトで言うと、2015年頃までに事業を経営したりしていて数百万円から数千万円、数億円をクリプトに投資できた方々が、現在、大きな利益を得ている印象があります。
その意味では、これから富裕層を目指す人は、投資自体を頑張るのも大事なことではあるのですが、そもそもの入金力を得るためにある程度稼げる職業に就くか、自分でビジネスを始める以外の選択肢はないと感じています。