マネー

2023.07.20 19:00

富裕層になりたければ、投資よりまず──?

石井節子
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最も自由にお金を使えているのは中小企業のオーナー

──入金力があった方々が多かったとのことで、元々は起業家や経営者、または役員などの幹部の方が多いのでしょうか。また、どのような業界の方々が多いのでしょうか。

おっしゃるとおりで、起業家の方々が多いです。

業界については、さまざまな業界の方々がいらっしゃいます。

最近になって気づいたのですが、お金を最も自由に使えるのは誰だと思いますか。

──中小企業のオーナーでしょうか。

その通りです。

中小企業の地方のオーナーが最も自由にお金を使っています。単に社長で役員報酬や配当があるからというだけでなく経費も使えますので。

起業してもし仮に上場させることができたとしても株は売りづらいです。

会社員は出世しても税金が高いですし、経費を自由に使えないことがほとんどです。

多様な富裕層の方々と交流をしましたが、お金を最も自由に使えるのは中小企業のオーナーであると改めて実感しています。

──投資に関する考え方や仕事、人生観などについて、富裕層の中で何か特徴的なパターンはありますか。

投資、特に金融系の投資に対しては強い興味を示す人が多くない印象です。

株式投資についてもあまり活発ではなく、私が観測していない範囲で取り組まれているかもしれませんが、あまり話題に上がることはありません。

不動産投資については興味を持つ人が多く、実際に投資している人が多数いらっしゃいます。

自分でコントロールできることが多いという点で事業と似ているからかもしれません。

シンガポールでクリプトを扱っている方々の多くも、元々は事業を経営していた方が多いです。

そのほか、バイアウトした方、現在も事業を続けている方、自分が会長になって配当だけで生活している方などさまざまな方がいらっしゃいます。

日本の状況に対しては悲観的、シンガポールについては高評価

──そういった方々が現在、いま懸念していることはなんでしょうか。

よく議題に挙がるのは、日本の社会システムや仕組みに対する懸念です。

年金や人口の減少、少子高齢化、そしてその固定化された状況を改善したいと思っていても変えづらいという問題です。

ほかにも、日本の状況に対するビジョン、リーダーシップ、目標、解決策が全く見えないという声も多いです。

シンガポールに移住している方々の意見なので、一定のバイアスはあると思います。

──日本の状況についてはネガティブに見ているとのことで、シンガポールについてはいかがでしょうか。

統制がしっかりと行われていて、小規模な政府のために意思決定が迅速であり、合理的に動ける環境が整っているという点を評価している人が多いです。

これについては私も同意します。

リバタリアン的な考え方では政府による規制が強すぎると感じるかもしれませんが。
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