「木桶職人復活プロジェクト」が発足するまで、醸造用木桶を新たに製造しているのはたった1社のみだったそうなんです。
蔵の微生物とともに木桶で呼吸し、発酵する味噌や醤油はタンクで製造したものとやはり味わいが違いますし、この木桶という伝統文化を絶やしてはいけない。そんなプロジェクトの想いに共鳴し、我々も何かできないかと考え、アコメヤ専用の木桶を発注しました。そして その木桶で作った「アコメヤの木桶味噌」を、そのストーリーとともに販売したのですが、まさに瞬殺で売れてしまいました。
我々は自身の役割を「日本の食のカタリスト」と定義しています。カタリストは直訳すると「触媒」ですが、「語り人」ともかけています。単に右から左へ商品を流すのではなく、生産背景=ストーリーを我々の言葉でお客様にお届けする。それに共鳴いただいたお客様から購入という応援票をいただく。これが新生「アコメヤ」が実現したい“おいしい”の循環です。
ほかにもAKOMEYA TOKYOで販売するお米の中でもベストセラーであり、創業当時から関わりのある島根県飯南町と4月13日に地域活性化包括連携協定を結びました。
飯南町は数年ごとに出雲大社神楽殿に日本最大級といわれる大しめ縄を奉納する「大しめ縄のまち」として知られているのですが、現在の農家の方々の平均年齢は75歳。耕作を放棄してしまったら、稲穂が刈り取れなくなるわけですから、しめ縄づくりの文化も途絶えてしまう。こちらも木桶味噌とともに、飯南町のコシヒカリを応援消費してもらうことで、文化の継承につなげていければと考えています。「アコメヤ」の視点を通じて、その地方や、伝統文化のファンになっていただければ、と。
──私の周囲には「アコメヤ」のファンが多いです。
パンデミック中に調査したところ、「アコメヤ」のお客さまの6割が、ロイヤルカスタマーの実に8.5割が“関係人口”であることがわかりました。