経営・戦略

2023.07.02 11:00

女子ウケする「最強の手土産」、AKOMEYA TOKYOのファンの作り方

AKOMEYA TOKYO 日本橋髙島屋S.C.

以前から「日本を元気にしたい」という想いで、「スターバックス」や「フライングタイガー」など、いわゆる外資ブランドの日本展開をやってきましたが、日本発祥の和のブランドを世界へ発信できたら、さらに日本を元気にできるきっかけになるに違いないと考え、2020年3月にAKOMEYA事業にジョインした次第です。そして海外展開を具体的に検討すべく早速NYへ行き、物件を探し、マーケット施策をしたのですが、帰国したらロックダウンになってしまったという……。
advertisement

──3年前、パンデミックと丸かぶりしてしまっているのですね。それは不運なタイミングでした。


本当に……ただ、それをきっかけに外より内へ、国内に目を向け続けた3年間となりました。売上としても、旅に行けない代わりに地方の美味しいものをおうちで食べたい、というニーズが増えたことで、悪くはなかったんです。

ただ、ビジネスモデルとしては食品物販は粗利が低く、スケールしないと成立しないというのが積年の課題でした。そこで食品販売業で経験値の高い「丸の内キャピタル」社とタッグを組み、22年4月にジョイントカンパニー「AKOMEYA TOKYO」として再スタートを切りました。

物販のほか食堂もあり、総合的なライフスタイルを提案する「AKOMEYA TOKYO in la kagū」(東京・神楽坂)

物販のほか食堂もあり、総合的なライフスタイルを提案する「AKOMEYA TOKYO in la kagū」(東京・神楽坂)


──国内に目を向けて、見えてきたのはどんなことでしょうか?
advertisement

前述したとおり、この事業はスケールしないと事業として成立しないので、新会社には迅速な成長が求められています。一方で、ビジネスサイズの拡大ばかり追求すると、ブランドは希薄化しがちです。ブランドを希薄化させずに、スケールするためには、みんなが「ここにいる理由」を明確に自覚して、みんなが強く成長を志向する、そんな組織に脱皮する必要があると考えました。

そうすれば“小さいまま大きくなる”ことができると。そんなことを考えている折に、アコメヤ事業がスタートをした2013年に、偶然にも「和食;日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことを知りました。伝統的な食文化とは、日本人の「自然を尊び、調和する精神性」であり、その中心には「米」がある。そう考えると、「米を中心としたライフスタイルショップ」である「アコメヤ」というブランドにますますの将来性と発展性を感じました。

そして、この文脈を意識しつつ、改めて我々のミッションとビジョンを定義しなおしました。“小さいまま”あり続けるために「日本の食の可能性を拡げる」をミッションとして掲げ、すべての商品選定は、このミッションに資するかどうかを判断基準としています。

最近、伝統技法でつくる木桶の継承に取り組む「木桶職人復活プロジェクト」に河野酢味噌製造工場 と参画しましたが、これも我々のミッション&ビジョンにアラインしていると考えてこそ、です。
次ページ > 「日本の食のカタリスト」として

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事