肥満の判断基準ではなかった
体格指数(BMI)はもともと、ベルギーの数学者で統計学者のアドルフ・ジャック・ケトレーが1830年代に開発したものだ。だが、ケトレーはこの指数を「肥満の診断」ではなく、男性の「平均的な体格を測定」するために考案していた。肥満の判断基準として知られるようになったのは、米国の生理学者アンセル・キースが1972年、その有用性を主張したためだ。キースは健康な白人の中年男性が大半を占める7000人以上を対象に調査を実施。一般集団においては、BMIが肥満度の尺度として適切なものであることを示した。
世界保健機関(WHO)や米国立衛生研究所(NIH)などの組織も、肥満の判断基準として、BMIを採用している。簡単でお金もかからないBMIによる測定は、患者の肥満度の判断において、多くの医師たちに使用されている。
だが、一方でBMIは、当初から批判の対象となってきた。体脂肪と筋肉を区別しないこの基準を用いれば、体脂肪が少ない人でも筋肉量が多く体重が一定以上であれば「太り過ぎ」とみなされてしまう。
また、これまでの研究で、体組成は人種や民族によって異なるとみられることが指摘されている。投薬や手術に関する判断の基準にBMIを用いることには問題があるとされるのは、そのためだ。
そのほかBMIを重視することは、肥満の患者に対する「偏見を助長する」との見方もある。そうした偏見は医師の間にもあることが、これまでの研究によって指摘されている。
(forbes.com 原文)