このような天文学的現象は、いわゆる「地球のpaleorotation(古代の自転)」を計算するために必要だが、データソースが不足していることから、論争の対象になっている。古代のミランコビッチ・サイクルに関するデータの半分は、過去7年に生成されたものだと研究チームはいう。「この非主流であっても極めて筋の通った代替案を検証すべきときがようやくきたことに私たちは気づきました」とミッチェルはいう。
1日19時間
新しいデータを用いることで、遠い過去の地球において、1日の長さがある固定値、約19時間のまま停滞していたかもしれない証拠が見つかった。それは月が地球の自転を遅くしていたためではなく、太陽が自転を速くしていたためだ。10~20億年前、地球の自転はもっと速く、その結果としおて月の潮汐力を弱めていただろう。また、太陽の大気潮汐の方が強かっただろう。両者はある時点で互いに相殺しあった。「つまり、もし過去のこれら2つの反対向きの力が互いに等しくなったとすれば、潮汐力が釣り合うことで地球の1日の長さは変化することを止め、一定期間不変であったと考えられます」とカーシャーはいう。
酸素の急増
10~20億年前は、地球上で酸素濃度が急上昇した2つの時期の間でもある。つまり、10億年の間、1日の長さが19時間で変わらなかったことは、植物が光合成をするのに十分な時間を確保し、地球上で繁栄し、地球の大気中にたくさんの酸素を作り出すのに役立っていた可能性を示唆している。「地球の自転の進化が、大気組成の進化に影響を与えていたかもしれない。そう考えると実に興味をそそられます」と本研究には参加しなかった、カリフォルニア大学リバーサイド校のティモシー・ライオンズは述べている。(forbes.com 原文)