スタートアップ

2023.06.29 09:30

n対nの重要性、住友生命は仲間づくりで広範なウェルビーイングの成果を出す

安井克至
もう1つは妊活と不妊治療の支援を中心とするインターネットコンテンツの企画・開発・運営などを提供するファミワンとのオープンイノベーションだ。両社は、2021年よりプレコンセプションケア領域でのソリューション開発にともに取り組んできた。さらに、Well-Being Xにおいては、両社は「子どものウェルビーイング向上」に着目しながら、主に中高生のジェンダーや心の悩みに寄り添うため、看護師や公認心理師による性教育を行い、性に関するオンライン相談窓口も提供するサービスを検討している。子どものウェルビーイング向上実現に向け、Well-Being Xに参画する自治体も巻き込みながら、サービスの進化を目指している。

他にも生活習慣病患者向けの食事指導プログラム「N・Partner(ニューパートナー)」を展開する、スタートアップ企業のタウンドクターは、住友生命とのオープンイノベーションにより、特定の疾病罹患者向け食事コーチングの提供を目指し共同調査を進めている。

「それぞれのオープンイノベーションのパートナーとともに、プログラムの1年目はユーザーに必要とされるサービスの形を探ってきました。2年目は具体的なサービスづくりのための実証実験を進める段階と位置づけています。現在のところ順調に進んでいます」(藤本氏)

2年目のWell-Being Xが掲げる目標

住友生命の参加を得たことで、Well-Being Xのオープン・イノーベション・プログラムに「n対n」の関係性が広がり活性化している。スクラムスタジオの渡部は「藤本氏が率いる新規ビジネス企画部がハブの役割を果たし、同社の各事業部の取り組みをつないでくれた。その『巻き込む力』とスピード感に圧倒された」と振り返る。そして渡部はこう続ける。

「ウェルビーイングに関わるビジネスを作ろうとすると、従来とは異なる切り口から物事を発想する必要がある。例えば今までのウェルネス的なアプローチからは、栄養に偏りのある食物を摂ることを避けて、健康管理をしっかりと行うべきという考え方だった。ウェルビーイング的なアプローチを採る場合、栄養に偏りがある食物でも、それを食べることを『楽しむ』ことを無理やり止めさせることは最適解にならない。提供する相手の状態を見て、対象に最も合ったサービスを考える視点を持つこと、つまりは『関連づける力』が大切だ」(渡部)

スクラムスタジオの上松は、2年目を迎えたWell-Being Xの課題を次のように捉える。


Well-Being Xを取材するスクラムスタジオの渡部優也、上松真也、今泉孝裕(左から)

「2年目は住友生命が関わるものも含めて、これからいくつかのプログラムは成果を実装化する段階をサポートしていきたい。当社が強みとするグローバルスタートアップとのオープンイノベーションの場を提供するところにも注力したい」
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編集=安井克至

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