スタートアップ

2023.06.29 09:30

n対nの重要性、住友生命は仲間づくりで広範なウェルビーイングの成果を出す

安井克至
こうした経済的・身体的なウェルビーイングに加えて、住友生命では人々がつながりの中で健康に、かつ幸せに暮らしながら「精神的」「社会的」ウェルビーイングを得られるようなウェルビーイングのエコシステム構築を目指している。これが「Well-Being as a Service(WaaS)構想」だ。現在の事業の柱である生命保険やVitalityのプログラムに加えて、外部のパートナーと「共創」するさまざまなウェルビーイングサービスを組み込むことで、全体のエコシステムを強くしていく。

スタートアップと積極的に共創

住友生命はWaaS構想の下で、ウェルビーイングサービスを拡大するために、スタートアップ企業との共創による地方自治体での健康支援事業や、企業における健康・ウェルビーイング経営のサポートも積極的に進めている。

例えばコミュニケーションロボットの「BOCCO emo(ボッコエモ)」を開発するユカイ工学、ならびに保育士・助産師等によるオンラインの寄添い相談サービスを提供するトモイクとともに開発する「夫婦の明るい子育て応援サービス」がある。


コミュニケーションロボット「BOCCO emo」のユカイ工学など、ウェルビーイングサービスを拡大するために、スタートアップ企業との共創

自治体との取り組みの中では、茨城県鹿嶋市とPREVENTをパートナーとする、医療データ解析に基づいた生活習慣病の予防・改善、重症化予防支援を市民に提供するプロジェクトがおもしろい。鹿嶋市では市民のウェルビーイング実現とともに、地域の「医師不足」や個人の「生活習慣病リスクの高まり」をまるごと解決すべく「医療の不足を補完する、市民が自分でコントロールできる健康の実現」に向けて取り組んでいる。

住友生命はVitalityの健康増進プログラムを、PREVENTは医療データ解析「Myscope」と生活習慣改善支援プログラム「Mystar」を活用して、市民のウェルビーイングを支援する。この公民連携によるプロジェクトは2021年から開発が始まり、先に市役所職員などを対象にした実証事業も行った。保険者が提供する検診結果やレセプトデータ(診療報酬明細書)を基に「Myscope」でリスクを分析。その高さに応じた健康増進・重症化予防のプログラムをパーソナライズした上でユーザーに提供するという内容だ。
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編集=安井克至

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