スタートアップと大企業が「1対1」で取り組む際に潜むミッシングリンク
Well-Being Xに参加を決めた理由を住友生命の藤本氏に聞いた。「当社も独自にさまざまなサービスを提供していますが、保険会社はサービスを自社で開発するシーズを持たないため、外部の企業とオープンイノベーションで開発した方が良いものを作れるという期待があります。また、当社でもコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)を運営していますが、より多くのスタートアップ企業との間でオープンイノベーションを展開するためにはスクラムスタジオの力添えをいただくことが有効です」(藤本氏)
住友生命では2020年11月に、規模80億円、期間は10年にわたる独自のCVC「SUMISEI INNOVATION FUND」を設立した。その取組みは順調に進んでいるが、スタートアップ企業と大企業が『1対1』で取り組むイノベーションには「ミッシングリンク」がある場合も少なくないという。
「互いのリソースを合わせても、1対1では足りない要素があってサービスとしては完成しないケースもあります。複数のスタートアップ企業と複数の大企業や大学、自治体などが『n対n』の関係でオープンイノベーションを進めることはとても有効だと考えます」(藤本氏)
実現に向かう子育て家族の向けサービス、妊活や不妊治療の支援
結果として、Well-BeingXが産声を上げた1年目から、住友生命が参加する複数のオープンイノベーションプログラムが立ち上がった。ライオンと住友生命、トモイクは、仕事と育児、家庭生活も含めた両立を目指した企業の子育て従業員向けウェルビーイングプラットフォームを共創する。トモイクのオンライン寄添い相談サービスの知見、ライオンの暮らしのマイスターの知見、住友生命の金融や保険の知見をベースに、ゼロから議論を始めながらサービスの外殻を整えてきた。次は実証実験に向けた準備を進める段階だという。