「受傷直後『やってしまった』と同時に『もう現役を終えよう』と思っていました」
心が折れかけた宮市のもとには、マリノスや代表の仲間たちだけでなく、他チームの選手やOB、マリノスを含めたすべてのクラブのファン・サポーターからエールが届いた。勇気づけられた宮市は、もう一度はい上がろうと決意した。
しかも手術後に待つ過酷なリハビリの過程を、さまざまな形で公開。同じように怪我に苦しむアスリートへのエールに変えたいと、インスタグラムへ投稿している。
「あきらめなければ、リハビリに取り組んでいる時間が報われるときが必ず来る。そういった方たちを勇気づけられるようなプレーをしていきたい」
ファンが待っていてくれた
「僕を待っていてくれた、という思いがすごく伝わってきました。プロを続けてきてよかった、という思いと、そういう人たちがいなかったら現役を続ける選択肢もなかったとあらためて思いました。心が震えましたけど、まだまだスタートラインに立ったばかりなので、これを積み重ねて、出場時間も長くしていって、チームに貢献していきたい」日産スタジアムの光景に感銘を受けた宮市が、こんな言葉とともに決意を新たにしてから約2週間後の10日。再びホームに柏レイソルを迎えたリーグ戦の後半アディショナルタイムに、宮市は復帰後初ゴールとなる決勝弾を叩き込んで喝采を浴びた。
試合後のヒーローインタビュー。必死に言葉を紡いだ宮市の声が震え出した。
「こういう景色を待っていたので……あきらめなければ何かが変わるんだということを、みなさんに少しでも感じ取ってもらえれば本当に嬉しいです」
ピッチへの帰還は復活物語の序章にすぎない。感謝の思いを熱きプレーの源泉に変えながら、宮市は未来へ向けて加速していく。