Jクラブの多くは毎年1月に新体制発表会見を行い、新たに加入した選手たちがお披露目される。今年、浦和レッズのそれは1月6日に本拠地の埼玉スタジアムで行われた。そのなかでちょっぴり照れながら、第一声を発した選手がいた。
「37歳になる年に、まさか新体制発表会見に出るとは思っていませんでした」
声の主はFW興梠慎三。スタジアム内に設けられたひな壇に登場した5人の新加入選手のうち、興梠を除いた4人の平均年齢が22.7歳。プロの世界で19年目を迎えようとしていた36歳のベテランの存在が、いかに異彩を放っていたかがわかる。
男の約束
昨シーズンの興梠は北海道コンサドーレ札幌でプレーしていた。宮崎県の強豪・鵬翔高から鹿島アントラーズへ加入し、2013年からは浦和のエースストライカーとして活躍してきた興梠だが、1年の期限付きでの札幌へ移籍だった。「浦和ではなかなか試合に出場できない時期が続き、自分自身、このまま引退ということも考えましたが、自分を必要としてくれるクラブからオファーをいただき、もう一度真剣にサッカーと向き合い、もう一度もがいてみようと思いました。自分のわがままを受け入れてくれたクラブには大変感謝しています」(2021年12月、浦和公式HPにて)
このときに思い描いていたのは札幌で復活を遂げ、通算158ゴールでJ1歴代3位に名を刻むストライカーの自信と誇りを取り戻した姿。その上で「もう一度ここ(浦和)に帰ってきて、成長した自分をみなさんに披露できれば」と未来を見すえていた。