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2023.06.07 17:30

Apple Vision Proが「常識を変える」これだけの理由、実機ハンズオン

安井克至
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音響技術に関しては、すでにさまざまな製品で採用されている空間オーディオの技術が組み込まれているが、映像品位に関しては「過去にない」品質なのも当然で、来年にならなければ製品化できない最新のマイクロOLEDデバイスを採用しているためだ。

アップルが発表しているわけではないが、Vision Proにはソニーが開発した1インチサイズの4K OLEDが2つ用いられていると推察されている。この製品には12個のCMOSセンサーも用いられており、ToFセンサー(距離を面で計測するセンサー)も搭載されており、いずれもソニーの技術が用いられている可能性が高い。

とりわけ、画質レベルと3D表示の品位は極めて高い。

視度補正(乱視にも対応する)レンズをマグネットで装着可能な光学系はコンパクトながら高精細。有効視野は90度と狭めだが、実際には100度近くまで表示領域は存在する。これは意図したもので、表示エリアがブラックアウトする端の部分をフェードアウトさせることで違和感が少ない視野にしている。

中央部の解像度は、優れた光学設計もあるのだろう。

細かな文字表示も鮮明で、部屋の中に大きなコンピュータディスプレイが浮かび上がってるようにしか見えない。画素間を感じさせる網戸のようなメッシュ感はなく、斜め線のジャギー(ギザギザ)もない。



特に視線が集中する中央部の解像度は高く、アップルのWebページに掲載されているデモ映像に映るウィンドウパネルよりも、実際のVision Proの映像はシャープに見えた。2メートルほど先の位置に、およそ100インチ程度の仮想スクリーンを置いて4K映像を楽しんでも、解像度の不足を感じることはない。

3D映像の『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』を鑑賞。3D感といい画質といい、ホームシアターでもかなり上質な部類の体験を味わえる。もちろん空間オーディオによるイマーシブサウンドもだ(Bluetooth経由でAirPods Proなども利用できる)。

しかし、こうした上質な映像や音響体験はVision Proを語る上での序章にしか過ぎない。
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編集=安井克至

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