ただし、充電環境は大きな課題だけど、もう一つ課題がある。それは、インフラが良くなればなるほど、ユーザーはより航続距離の長いEVに乗りたがるという事実だ。
正直なところ、現在、多くの日本のEVは満充電の場合、WLTCモードで400kmぐらいしか走らない。しかし、テスラのモデル3は業界リーダーだ。ベース仕様でも、同モードで565kmが出るし、パフォーマンス仕様は605kmは走れる。しかも、ロングレンジ仕様なら689km。モデル3は、とても高く評価しているし、この価格帯ではベストだけれど、強いて言えば、これは重い車重なのでブレーキを強化して欲しいところ。
やはり、EVが主流になるには、充電環境がグーンと進歩しなければならないだけでなく、EV自体も現在のガソリン車ユーザーの期待に答えなければならない。つまり、普通のガソリン車は満タンで500km以上は走行できる。EVも500km以上にならないと、多くのガソリン車のユーザーはEVに見向きもしないのではないか。
最後に価格の比較をしよう。公称470kmが出る2輪駆動の日産アリアのベース仕様は540万円。対して、テスラのモデル3のベース仕様も全く同様の540万円。でも、モデル3はアリアより100km以上の565km走る。もちろん、リアルワールドでは航続距離が1割以上少ないことが普通だ。さて、あなたはどちらにしますか?
国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
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