東南アジアの金融商品比較プラットフォームMoneyHeroが米国でSPAC上場へ

(左)ピーター・ティール(右)リチャード・リー(Getty Images)

アジアの金融ハブである香港とシンガポールに拠点を置く、金融商品の比較プラットフォームを運営するフィンテック企業マネーヒーロー(MoneyHero Group)は、香港のビリオネアのリチャード・リー(李沢楷)と、ペイパルの共同創業者のピーター・ティールが支援する特別買収目的会社(SPAC)と合併し、米国で上場しようとしている。

5月25日の声明によると、ナスダックに上場するBridgetown Holdingsは、この取引でマネーヒーローの企業価値を負債を含めて約2億ドルとし、統合された会社の価値を3億4200万ドルと見込んでいる。マネーヒーローは、最大で1億5400万ドル(約216億円)を調達する。

同社は、この取引が市場の拡大やブランド力の強化、人材の獲得に役立つと述べている。

「我々は、人々の金融サービスの選択にかかる時間を節約し、有益なものにするというミッションを加速させるために、Bridgetownと協力できることをうれしく思う。上場によって当社のプラットフォームはさらに強化され、革新的な金融ソリューションへのアクセスを通じて、人々の暮らしを変えるための事業を継続できる」と、マネーヒーローのCEOのPrashant Aggarwalは述べている。

マネーヒーローの投資家には、リーが支配する香港の通信大手のPCCWや保険会社のFWDグループ、さらにゴールドマン・サックスらが含まれている。合併は、早ければ第3四半期に完了する見通しという。

以前はHyphen Groupとして知られていたマネーヒーローは、2014年に設立され、香港、マレーシア、フィリピン、シンガポール、台湾で金融サービスの比較プラットフォームを提供している。同社のプラットフォームは、クレジットカードや個人ローン、保険の申し込みなどのサービスも提供している。

マネーヒーローは、3月時点で約980万人の月間ユニークユーザーを集め、270以上の銀行や金融機関とパートナーシップを結んでいる。同社の売上は、2022年に前年比9.7%増の6810万ドルに達し、東南アジア最大の個人向けの金融商品の比較プラットフォームになったという。しかし、多くの急成長企業と同様に、マネーヒーローはまだ黒字化を達成できていない。

5月初めに、リーが支援する別のフィンテック企業も資金調達を行っていた。シンガポールを拠点とするインシュアテック(保険テクノロジー)企業のBolttechは、シリーズBラウンドで1億9600万ドルを調達し、評価額は16億ドルに上昇した。このラウンドは、日本の東京海上が主導し、ニューヨークの保険大手メットライフの投資部門とマレーシアの政府系ファンドのカザナ・ナショナルらが参加した

リーは、同社の会長を務めており、彼の投資会社のPacific Century GroupはBolttechに出資している。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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