「ソニー」からのインスパイア
F:会社が成長するにしたがって、起業当初と目標や価値観に変化はありましたか。JK:ちょうど2019年頃、ソニーさんを視察する機会があったんです。ソニーさんはハードウエアやソフトウエアの開発だけでなく、生活をいかに楽しくするか、エンターテインメントを目標に据えたうえで開発があるという共通認識が会社全体に根付いていたのです。ソニーさんのように、Insta360で実現したいことは、より楽しく日常を記録するお手伝いをすること、これが最終目標ではないかという考えに至りました。
F:企業価値の変化は、会社のロゴにも反映されているのでしょうか。以前の会社のロゴは「Chase Adventure」で、今は「Think Bold」ですよね。
JK:会社が成長するフェーズでメッセージは変えています。「Life is Short, Play More.(人生は短い。もっと楽しもう)」「Chase Adventure(冒険を追い求めよう)」、そして昨年12月に社内で決定した今の「Think Bold(大胆に考えよう)」です。今の会社の状態に一番合っている表現だと思います。社員が仕事にThink Boldでチャレンジしていくという意味合いがあります。
F:100人体制から今では1200人体制へと会社が成長していますが、成長の過程で直面した苦労や難しさは?
JK:一番難しいと思ったのは、組織経営ですね。どのように企業文化を育てるか。結構ネックを感じています。100人位の会社では、社員同士、コミュニケーションも取りやすくお互い理解しやすい。今は1000人を超えて企業文化も浸透していない。そこに課題を感じています。
F:今後はどのような製品開発を視野に入れていますか。
JK:本来ならば、何かを撮る時はカメラマンを雇って撮影してもらうほうが一番気楽ですよね。弊社のカメラもカメラマンのような存在になれたら、そんな製品を作りたいですね。
直近では自動的に人を追跡して撮影してくれるAI追跡機能を搭載したジンバル「Flow」を発売しましたが、この製品が今後の新たな出発点としての位置づけになります。Flowは、カメラマンの手のような働きをイメージしている。プロが撮影した動画がコンセプトです。次のカメラには、カメラマンの「足になる働き」が加わると考えていただいて構いません。
F:起業当初の3つの目標はほぼ実現されています。今後の目標を教えてください。
JK:グローバルに響く製品を生み出すこと、それを実現できる組織を作りたいですね。後々は自分がいなくなっても会社が存在して、新しいものを次々と生み出せる組織へと成長していくこと。頑張ります(日本語で)!