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2023.06.10 08:30

人気のアクションカメラ「Insta360」が次の革新を匂わす

「Insta360」創業者の劉靖康(JK Liu)は大の日本好きだ。

フォードの馬車の話を知っていますか?

F:最初の製品はiPhoneに接続して使う360度全天球カメラ「nano」。その後いわゆるアクションカメラに広がり、撮影素材の編集機能も充実していきます。JKさんの製品への関わり方について教えてください。
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JK:100%関わっていて、製品テストについても立ち合います。コロナ前までは年間少なくとも3、4回は日本に来て、日本で撮影してテストしていました。アイデアはもっぱらシャワーを浴びているときに浮かびますし、そのアイデアすぐ形にする。意思決定の立場から全てに関わっています。

ONE Xの頃はまだ社員が100人程度でしたので、ものづくりにフォーカスしても大丈夫でしたが、今では社員が1200人に増えたので、もっといいものを作るために組織を成長させることに力を入れないといけない。ものづくりが好きでたまらないのですが、「会社自体をものづくり」と思って、いい会社にするためにどうすればいいか考えています。

F:3月にAI追跡機能を搭載したジンバル「Insta360 Flow」を発売されましたが、すでに完成された印象のあるジンバルというアイテムに再注目されたのはなぜですか。GoProやDJIといった競合製品がある中で、なぜ今、という印象があります。
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AI による自動追尾など欲しかった機能を備え、ジンバルを刷新した「Flow」

AI による自動追尾など欲しかった機能を備え、ジンバルを刷新した「Flow」


JK:スマホ用ジンバルはいくつか市場に出ていますが、実はまだユーザーのニーズは満たされているとは言えないんです。操作性はもちろん、スマホの延長にとどまっていますからね。ジンバルに限らず、他の製品もこれから次々とリリースしていきますが、私たちは、自らの製品が完成しているとは考えていない。

フォードの創業者の「もし顧客に何がほしいか尋ねていたら、もっと速い馬が欲しいと答えていただろう」という話があります。これは、顧客は自分が本当に必要なものはわからないという有名な話ですが、私たちは、速い=「馬」が欲しいという顧客に、速い=「移動」という本質を理解したフォードと同様に、今までにない別の提案をするのが弊社のスタンスと考えています。その分野の競争に限定するのではなく、ユーザーのニーズの本質がどこにあるか考えてユーザーの期待を超える製品づくりを実現したいですね。
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取材・文=中沢弘子 写真=苅部太郎

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