中国が2022年にグリーンエネルギーに投資した額は5460億ドル(約76兆6000億円)。一方、米国の投資額は1410億ドル(約19兆7800億円)と、大きく水をあけられている。投資額におけるこうした格差は、米国にとって国家安全保障上の重大な課題となっている。
ほんの10年前、再生可能エネルギーは高コストかつ高リスクな産業で、政府による巨額支援なしには成り立たなかった。それが今や、いくつかの従来の化石燃料よりも安価なエネルギー源へと変貌した。出力変動の緩和や、エネルギー貯蔵といった課題の解決にも進展がみられており、再生可能エネルギーは今後20~30年のうちに最大のエネルギー源となる可能性がある。
民間セクターの投資は、技術的イノベーションとエネルギーコスト低下を加速させ、最も聡明で優秀な人材を引きつけている。グリーンエネルギーブームは、消費者、経済全体、地球環境の三方すべてにとって喜ばしいことだ。
この分野の新興企業は枚挙にいとまがないが、本物の革新性を備えた企業はひと握りにすぎない。以下に挙げる企業は、再生可能エネルギーに革命を起こしうる技術をすでに開発しており、世界の地政学や地経学(ジオエコノミクス)に本質的変化をもたらす可能性がある。
Purpose Energy(パーパス・エナジー)
パーパス・エナジーが最も懸念する環境問題のイメージは、ゴミであふれかえる埋立地だ。パーパス・エナジーは「地球上で最も効率的な分解装置」と同社がうたう「トライブリッド・バイオリアクター」を利用して、食品工場から出る有機廃棄物資源を、メタンガスという貴重な再生可能エネルギー、清浄な水、健康的な土壌改良剤・肥料に変換する。人口増加が止まらず、工業的農業も終焉の兆しが見えないなかで、パーパス・エナジーは、有意義なニッチ市場を開拓したように見える。創業以来、同社は2800万kWhを超える電力を生み出し、3300万トンの二酸化炭素排出を削減し、4億3200万ガロン(約1億6350万キロリットル)の水を浄化した。目をみはるような数字だが、これを構造的変化につなげるには、さらなる大規模化が不可欠だ。