経済

2023.05.29 07:15

8割の企業で光熱費支出が上昇、増加割合が最大の業種とは

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ウクライナ侵攻に伴う資源高騰などが原因で光熱費が上昇し、中小企業の経営を圧迫している。帝国データバンクは、2023年4月時点で22年度決算が判明し、21年度の業績と比較可能な約3万8000社を対象に、光熱費支出の動向についての調査を実施。

その結果、約8割(81%)にあたる約3万1000社の企業で、2022年度の光熱費が増加していたことが明らかになった。支出の増加幅別に見ると、最多が前年度比「+20%未満」で4割超(44.3%)となり、続いて「+20-80%未満」(30.7%)の順に。前年度比で2倍以上になった企業も、4.6%存在した。光熱費増加額の1社あたりの平均は47.8万円に達し、月額約4万円の増加となった。

業種別で光熱費の増加割合が最大だったのは「小売業」で、8割超(85.2%)の企業で増加。1社あたりの平均で年間約186万円、月額約16万円の大幅増となった。食料品の冷蔵・冷凍陳列や店内照明などによって、電力を多く消費するコンビニエンスストアや食品スーパーなどで、光熱費が大きく膨らんだ。飲食店でも、食材保管の電気代や調理用のガス代、上下水道の費用増が散見された。

ほかにも、「卸売業」「運輸・通信業」など、「保存・保管」などで電力を多く使用する業態で光熱費の増加割合が高かった。1社あたりの増加額については、小売業に続き「サービス業」で多く、年額で平均約66.5万円。複数の遊戯機を常時稼働するパチンコホールなどの「娯楽業」や、ボイラーや客室空調などでエネルギーを消費する旅館・ホテルなどの「宿泊業」で増加が目立った。

さらに、全国的に企業の光熱費は増加。増加した企業の割合が8割以上を占めたのは、近畿と九州を除く7地域に上った。中でも「東北」が84.5%で最多だった。一方で、光熱費の増加額は地域によってバラつきがあり、増加額が最も高い地域は「北海道」で、一社あたり平均約62万円増加。特に冬季に空調を維持するための電気・ガス代の上昇が大きく影響した。

中小企業からは、原材料価格の価格転嫁が優先され、電気料金の価格転嫁までは厳しいという声が聞こえてくる。帝国データバンクは、国内電気料金について6月以降、標準的な家庭で14〜42%の値上げが相次いで実施されることを踏まえ、「政府による電気・ガス代負担軽減策など時限的な支援もあるものの、今夏以降にさらなる負担増を迫られ、収益環境が一層厳しくなる企業が増加する可能性がある」と警鐘を鳴らした。

プレスリリース

文 = 大柏真佑実

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