物流2024年問題迫る 業者の運賃値上げ交渉するも難航

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ドライバー不足に燃料高騰、2024年4月以降、働き方改革関連法によってドライバーの時間外労働時間の上限規制が適用されることで発生する「2024年問題」など、様々な課題を抱える物流業界。多くの経営者が頭を悩ませ、活路を探っているが、厳しい運賃値上げ交渉の実態が明らかになった。

M&A仲介業のM&Aキャピタルパートナーズは5月10日〜11日、物流・運送業の経営者100名を対象とした調査を実施。燃料費や人件費、小口配送の増加などが利益を圧迫し、「近年、経営が厳しくなった」と答えた経営者は、8割超(83%)に上った。

荷主企業に対する運賃の値上げ交渉については、「既に運賃交渉をしている」の答えが半数超(52%)を占め、「運賃交渉をする予定がある」も2割弱(19%)となった。交渉結果については、「値上げをしてもらった」経営者が半数(48.1%)いたが、うち64%が「要望より少なかった」と回答。また、「変化はなかった」が25%、「取引がなくなった」という経営者も1.9%存在し、多くの物流・運送業者が荷主企業との運賃交渉を思うように進められていない状況が分かった。


さらに、運賃の値上げ交渉が決裂した場合、利益確保のためにどのような対策をするかを尋ねると、最多が「コスト削減」で62.1%。次いで「採算が取れない、交渉に応じてくれない荷主企業の仕事からは撤退する」で4割強(44.8%)に。

料金交渉を行えない、あるいは行わない理由としては、1位「荷主との力関係で運賃交渉をできる関係にない」(54.5%)、2位「取引がなくなる懸念がある」(45.5%)、「取引量を減らされる恐れがある」(18.2%)の順となった。

物流・運送業者の運賃値上げが叶えば、消費者が支払う配達料金や商品価格への影響は避けられない。すでにヤマト運輸は、4月3日から個人利用の宅配便運賃を平均約10%値上げ。佐川急便も4月1日から平均8%値上げしており、物流クライシスは家計にも影を落としている。

プレスリリース

文 = 大柏真佑実

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