起業家

2023.06.21

金融のプロに聞く「業界の10年後」 多様性が変革のカギに 

ChatGPTをはじめとするテクノロジーの進歩が目覚ましい。一年後にどんな未来が待っているかさえ不透明に感じるなか、各業界のプロフェッショナルは現実を的確にさばきつつ、はるか先を見つめている。この連載では、「10年後の理想の未来」をテーマに、さまざまなフィールドで活躍するプロフェッショナルに世界観を語っていただく。

初回は、金融業界を長年牽引し、現在は次代を担う数多くのスタートアップの支援を行う高野 真氏に聞いた。

日本経済成長と起業家育成

──若手起業家育成に力を注いでいる高野さんですが、そのきっかけはなんだったのでしょうか。

僕は証券会社でキャリアをスタートさせ、ゴールドマン・サックス、ピムコジャパンの社長などを経て、2014年に正式に金融会社を離れました。そこから先、自分の第二の人生を選ぶ際に、社会還元として何ができるかを考えました。

そこで思い至ったのが、「これからは新規の事業を作らなきゃいけない」ということ。そして、新規の事業は既存の人たちには難しいから、新たに人を育てなきゃいけない。起業家育成だと思ったんです。

僕の古い友人でもあるイェスパー・コール(D4V ストラテジック・アドバイザー)が過去50年ほど、複数の国を調べた結果、人口に占める起業家の割合とその国のGDP成長率に相関関係があることがわかりました。そういう意味では日本で起業家は少ないですよね。

起業家を増やすことがGDP成長率に繋がり、ひいては雇用に繋がっていく。ベンチャー業界ないしベンチャーキャピタル業界は、そこに向かっていかないといけない。この5年ぐらいずっと日本のベンチャー投資が増加傾向にあるので、その点は喜ばしいと思っています。

──日本の投資家と起業家の関係についてはどう思われますか?

まず特徴的なのは、非常にクローズドだということです。投資をする側とされる側、つまりベンチャーキャピタルやエンジェル投資家といった投資をする側と、投資をされる企業、起業家とが仲がいいんです。

これは別に悪いことじゃない。ただ、普通はちょっと違って、投資をした人たちには「スチュワードシップ・コード」(機関投資家の行動規範)があります。つまり、投資家は、投資先に対してきちんとガバナンスを要求し、一定のフレームワークのなかで、ちゃんとリワードをあげる義務があります。
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インタビュー=中村 優子

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