起業家

2023.06.21 09:30

金融のプロに聞く「業界の10年後」 多様性が変革のカギに 

鈴木 奈央
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インクルージョンというのは何かというと、「自分と価値観の違う人の意見を受け入れる」カルチャーのこと。これが日本企業にない。カルチャーが整ってないから、数を揃えていってもうまくいかないんです。

大企業には、長年かけて創り上げられた堅牢なカルチャーがあるので、そこを変えるのは時間がかかります。ではスタートアップ企業で進んでるかというと、そうでもありません。ですが、スタートアップは、言わば自分たちでカルチャーを作らなければいけないフェーズなので、時代に即した、グローバルなカルチャーにしていくには手っ取り早いわけです。

──ダイバーシティから一歩進んでインクルージョンである必要性はどこにあるのでしょうか。

ダイバーシティのように、メンバーが多様であるというだけでは企業は成長しません。多様な人たちの発想を取り入れることによって新しい化学変化が起き、その化学変化が価値を作ります。

つまり、イノベーションを起こすためには色々な人、自分と違う他者の意見を取り入れていかなければいけません。僕らのチームの場合、女性やマイノリティーだからといって優遇はしません。ですが、フェアに扱います。その在り方、姿勢がダイバーシティ&インクルージョンです。

D&Iは、30年ぐらい前に言っていても意味がなくて、今だから意味があると思っています。今はそのチャンスなんです。そういう時代に今、日本はいるんじゃないかと思います。

──10年後どのようなことが常識になっていると思われますか。

僕は金融出身なのでその視点でお話しすると、上から上場株式、上場債券やインベスターバンキング、銀行、證券、生命保険などがありますが、ここまですべてが金融業界なんです。

でも、VCって金融にくくられないですよね。VCはどちらかというと産業育成を担っていて、金融の中で実はすごく神聖だったんです。分離されていたので、人材交流もなかった。でも、今後10年もしたら今のアセットマネジメントのように金融業界の中でむしろメインストリームになってくると思います。

なぜかというと、今後の資産運用にはAIが入ってきますし、インデックス化が進みます。そうすると、これまでのように既存のビジネスモデルや他の成長性のある企業へ投資をしても、今後思うようなリターンを上げづらくなります。そうすると残るのはVC、つまり人への投資です。

人への投資は、AIではまだ評価が難しく、ばらつきが出る。今後はアーリーステージにいけばいくほど、人への投資のレバレッジが大きくなります。そして、そういった分野の人材の流動が激しくなるのが重要だと思います。今は投資銀行出身者からPEという流れが多いですが、今後はVCが、世界中の優秀な集まるフィールドになっていくでしょう。


高野 真◎1987年大和証券入社、1997年にゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントへ移り、執行役員企画調査室⻑を経て2001年にピムコジャパン入社。取締役社⻑を約13年務める。2014年に金融から出版に転じ、株式会社アトミックスメディア(現リンクタイズ株式会社)代表取締役 CEO 兼 Forbes JAPAN 編集⻑に就任し、Forbes JAPAN を立ち上げる。2019年よりリンクタイズ株式会社代表取締役 CEO 兼 Forbes JAPAN Founder。また、2007年よりMT パートナーズ株式会社代表取締役、2016年より D4V Founder & GP。その他、エンデバー・ジャパン、日本ベンチャーキャピタル協会、GHV Accelerator、国際文化会館でもボードメンバーとして携わる。

インタビュー=中村 優子

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