車を乗り継ぐ感覚のチャーター機送迎
ただ往復航空券がつくという話ではない。小型チャーター機での送迎がついてくるのである。チャーター機の何がすごいかと言うと、搭乗する際にホノルル国際空港(ダニエルKイノウエ空港)の一般旅客ターミナルは使用しない。空港敷地内の「ラナイエア」専用のハンガー(航空機の格納庫。ここが発着場となる)に直行して搭乗する。つまり、カウンターでのチェックインや、スーツケースの預け入れ、長い行列の手荷物検査などは一切不要。出発時刻もこちらの要望に応じてカスタマイズしてくれる。車で乗り付ければ、スタッフがその場で荷物を回収。ラウンジでゆったりとスナックとドリンクを楽しみ、そのまま飛行機に搭乗する。チャーター機はだいたい6人~8人乗り。2ファミリーなら貸し切りになる空間だ。
ちなみに、日本からハワイに到着する場合は乗り継ぐことになるのだが、国際線ターミナルに到着すると、税関出口にてラナイエアの係員が出迎えてくれ、そのままラナイエアの発着場まで専用の高級車で連れていってくれる。
まるで車を乗り継ぐような感覚で出発。20分もすればラナイ島に着いてしまう。空港にはホテル専用の送迎車がチャーター機の目の前までお出迎え。まるでVIPのようにタラップから送迎車に乗り込む。この間、預けた荷物に触れることはない。そして20分も車に揺られると、さわやかな貿易風が吹き抜けるホテルのエントランスに到着するのである。
この手軽さ、特別感には誰もが驚くに違いない。チャーターフライトの「ラナイエア」も2つのフォーシーズンズもエリソンが所有。彼の、ラナイ島を特別な存在にしようという目論見の一環なのである。
ホテルにも彼の思想が貫かれている。ラナイの自然を尊重するアクティビティやツアーが充実しているのもその1つだが、プラスチックを極限まで削減したり、節水や節電のための大規模なシステムを導入したり、リサイクルや灌漑用水の使用など、サスティナビリティー(持続可能)を徹底している。そして、地産地消だ。
エリソンが島を購入してまずつくったのが「センセイ・ファーム」という水耕栽培用の温室。広さは2万平方フィート(約1860平方メートル)。動力源は1600枚のソーラーパネルでテスラ社製。エリソンはイーロン・マスクと親しくテスラ社取締役でもある。
ホテルの送迎車にもテスラ「モデルX」が使われているし、約3300人の住人の島に、オアフ島にも1カ所しかないテスラ車用のスーパーチャージャーがしっかり設置されているのも、エリソンのテスラ好きのせいだと言われている。
このセンセイ・ファームで栽培されたトマトやキュウリなどの野菜は、島の食事情を変えたと言われている。島に1つしかない(!)生鮮スーパーにも生産された野菜が豊富に置かれているし、フォーシーズンズの「NOBU LANAI」などのレストランでもセンセイ産の新鮮な野菜がメニューを魅力的なものにしている。
後にも出てくるが、この「センセイ」という言葉がキーワード。センセイとは日本語の「先生」が由来。大の日本文化好きだというエリソンのこだわりがこんな名称にもよく出ている。