2023.09.19 18:00

まさに博物館級のフェラーリ|フェラーリ365GTB/4のプロトタイプ#10287

石井節子

「スイスでこの車に出会ったんだ。かなりひどい状態だったけど、なんとか走らせて、2003年のフェラーリ・クラブ・ミーティングに参加しました。『この車が何だかわかっているのかい?』と、年配のクラブ員たちに聞かれたので、『まあ、かなり手を入れないといけない車ですね』と答えました。しかし、徐々にこの車が本当に特別な車であることがわかり、その歴史をすべて調べようと必死になったのです」

#10287がフェラーリで果たした重要な役割に魅了されたオーナーは、この車を完全にレストアしてかつての栄光を取り戻すことを決意した。工場出荷時の姿に戻すために、細心の注意を払いながら研究を重ねた。そのために、#10287は、この時代のフェラーリに多大な経験を持つオランダのスペシャリストチームに託された。メカニカルな作業はフォルツァサービスのアレックス・ヤンセンが、ボディワークはカロッセリーベドリイフ・バルト・ロマインダース、インテリアワークはHVLエクスクルーシブ・イタリアン・インテリアーズとクラス・レザーズに任された。



レストアが完了すると、#10287は満を辞して2012年5月のヴィラデスト・コンコルソ・デレガンツァで初公開された。レストアを終えて表舞台に戻ると、愛好家やモータージャーナリストから多大な注目を集め、オランダの『GTO by Autoweek』3号、フランスの『Rétro Viseur』2014年9月303号、前述の『Cavallino』211、2016年2・3月の記事、オランダ『AutoWeek Classics』2016年7月、オランダ『Octane』8月23号などの有力雑誌で特集記事が組まれた。

このレストアの最終的かつ最も重要なステップは、プロトタイプ・クラシケの認定を受けることだった。ちょうどこの頃、#10287の当時の写真が見つかり、365GTB/4と同じ通常の4つのテールライトではなく、6つの小さなカレロのテールライトがあることが判明した。そこで、リアエンドは完成時の状態に戻され、この車には、オリジナルのシャシー、完全にユニークなオリジナルのエンジン、正しいタイプの交換用トランスアクスルギアボックスが搭載されていることが確認され、無事クラシケの認定を受けたのである。



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