木星の衛星群には生命に適した環境があるのか
木星が持つ巨大な衛星群の表面下には水が存在している可能性があり、その量は地球の海をはるかに上回るほどだと科学者たちは考えています。「惑星ほどの大きさがある木星の衛星群には、地球以外にも生命の存在に適した環境があることを示唆する興味深いデータがあります。高温な星ではなく巨大惑星を周回する衛星で生命が維持されているのかもしれません」と、ESAは語っています。
「木星とその巨大な衛星群は、宇宙に点在する巨大ガス惑星系の典型です。そのため、太陽系の中では非常に探求心をくすぐられる存在なのです」。
JUICEの探査機はエアバス社製で、重量が6200kgあり、木星の衛星群からデータを取得するための最先端の観測機器が10種類搭載されています。その中には、望遠鏡やアイスレーダー、微生物が生育できる環境があるかどうかを検知するセンサーなどが含まれます。
探査機は、さらに宇宙の奥へと向かい、太陽系最大の衛星であるガニメデを周回する軌道に入り、9カ月間観測を続けます。
「『JANUS』と呼ばれる高精細の可視望遠鏡を使った衛星群の接写も予定されています。フライバイの最接近距離はわずか400kmなので、非常に近くで印象的な画像が撮影できるでしょう。どのようなものが写るのか、想像するだけでワクワクします」と、JUICEのプロジェクトマネージャーを務める、エアバス・ディフェンス・アンド・スペース社のシリル・キャベル氏は、BBCニュースに対して語っています。
宇宙探査をよりサステナブルに
世界経済フォーラムは、世界初となる宇宙ミッションに対するサステナビリティ評価システムを開発していますが、それにはESAも参画しました。「宇宙ミッションに対するサステナビリティ評価(Space Sustainability Rating)」と呼ばれるそのシステムは、スペースデブリ(宇宙ゴミ)を削減するとともに、宇宙探査をよりサステナブルなものにすることを目的としています。
「地球の軌道上には1cm以上の大きさの物体があふれています。その数は100万個以上で、そのうち4000個は人工衛星です。今後10年でさらに60000基ほどの人工衛星が打ち上げ予定です。スペースデブリをこれ以上増やさないためには、戦略を策定することが重要なのです」と、世界経済フォーラムは述べています。
(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)
連載:世界が直面する課題の解決方法
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