新型コロナ感染拡大のパンデミックの只中、五月病になる人が減少傾向にあったとみられるのは、五月病の原因となる社会との接触によるストレスが軽減されたためであると思われます。
メンタルヘルスは日本でも注目され、社会全体でメンタルヘルスを支える取り組みが進められています。本題についてWEFのアジェンダからご紹介します。
新型コロナ感染の拡大は、生活のさまざまな側面に大きな影響を与えました。メンタルヘルスもその一つです。世界保健機関(WHO)は、パンデミックの最初の年に、不安やうつ病の世界的な発生率が25%増加したと発表しています。
また、「増加の原因のひとつは、パンデミックによる社会的孤立による、前例のないストレスと考えられる」と、WHOは加えています。
一方で、社会的孤立が短期的にはむしろ良い結果をもたらしたケースもあることも、研究で明らかになっています。
パンデミック以前から、日本では職場や学校、転居など環境の変化をきっかけに心身が不安定になることを「五月病」と呼んできました。
なぜ「五月病」なのか?
なぜ5月なのか。日本では新年度が4月に始まり、学校や職場など新しい環境を迎える場面が多く、その直後にゴールデンウィークを迎えます。約一週間の休暇でリフレッシュできる人もいれば、休暇が理由で復帰がむずかしくなるケースもあります。こうして、5月初旬は気分が落ち込み、また疲れやすく、集中力が低下しやすい時期にもなり得るのです。
五月病の原因となり得るのは、原因はさまざまです。
新しい環境に適応することがむずかしい
新しい人間関係を築くのに苦労している
理想とする世界と現実とのギャップを強く感じる
新しい環境に固執することで、次の目標が見えなくなる
パンデミック中の「五月病」のグーグル検索では、パンデミック前の2019年に比べて80%減少し、五月病やその解決策について調べる必要性を感じる人が減ったことがわかります。
パンデミック中の外出自粛政策のため、新たな環境で経験する人との交流の減少により、五月病に苦しむ人が減ったと、専門家は 推測しています。
パンデミックが、五月病の対策に一役買ったと言うわけではありません。すでに多くの国でもみられるように、コロナ対策は緩和され、社会活動が戻ってきています。あらためて、今後より多くの対面での交流が生まれ、新しい人間関係が構築される機会は増える傾向にあります。
この現実は、交流の機会が減ったことから「救われた」人たちが、うつ病や自殺を避けることを、むずかしくする可能性があります。
また、日本政府は3月13日、マスクの着用義務化を正式に解除しました。解禁から2週間後、東京駅では89.7%の人がマスクの着用を継続していました。専門家は、パンデミック後の年度初めに、新しい学校や職場での一般的な変化に加え、マスクを外して顔を見せる環境がストレス要因となり、五月病になる人が増える可能性を示唆しています。